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メッシとネイマールの間で生き残る……。
スアレスの告白「簡単ではなかった」。
posted2015/12/10 13:45
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Daisuke Nakashima
漠然としたイメージを抱いていた。
ものすごい悪者なんじゃないか。
ルイス・スアレスの独占インタビュー(Number臨時増刊号「<クラブW杯観戦ガイド>バルセロナ最強の全貌。」)が決まってからというもの、頭には過去に彼が世間を騒がせた事件の数々が浮かんでは消えた。
噛み付きは(判明しているだけで)3回。その他シミュレーション、人種差別、暴言、数え切れない非紳士的行為。
およそ問題児と言われるために必要なことはほとんどすべてやってきた。まだやっていないのは脱税と脅迫くらいだろう。
スアレスと一度でも対戦した相手(特にセンターバックだ)が口にするのは、ネガティブなことばかりだ。たっぷりの事前情報があったから、少しだけ身を構えていた。
しかし、過去にスアレスとプレーしたチームメイトや友人など、実際に彼と接する人々は口をそろえる。
「スアレスは最高のやつなんだ」
ウルグアイ代表やバルサの選手がそういうのを何度も耳にしてきた。
善か悪か。テレビ画面を通さない、生身のスアレスとはどんな人間なのか。膨らむ興味とひと握りの緊張を胸に、練習場の門をくぐった。
メッシとネイマールに挟まれて……。
練習を終えたスアレスは、撮影スタジオへ足早に入ってきた。
現在絶好調。その勢いは表情からも伝わってくる。握手をかわし、インタビューの趣旨を説明する。今日の練習でもいつものようにかけ回ったのだろう、気温は低いのに、練習着はびっしょりと汗で濡れていた。
スアレスはおおいに語った。
憧れ続けたストライカー、ガブリエル・バティストゥータになることをやめた理由。
カンプノウのピッチに立ちながら自問した、モダンサッカーにおいてストライカーに必要な要素。
メッシとネイマールに挟まれる中で考えた生き残る術――。
「簡単じゃなかった」と彼は言った。