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巨人・小林誠司のリードが変わった!
頭で描く配球から、投手本位へ。

posted2015/08/22 10:50

 
巨人・小林誠司のリードが変わった!頭で描く配球から、投手本位へ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ポスト阿部として小林誠司の前には万全のレールが敷かれているかに見えたが、プロの世界はそれほど甘いものではなかった。それでも、着実に小林は階段を上っているといえるだろう。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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NIKKAN SPORTS

「若い選手がレギュラーを取るためには、毎日、毎日成長しているということを見せなくちゃならないんだよ」

 巨人の原辰徳監督がこんなことを言ったことがあった。

「それなのに同じ失敗を繰り返して、使えば使うほどがっかりさせられているようじゃ、土俵にも上れない」

 これは若手のホープとして期待されながら、今は二軍暮らしの続いている大田泰示外野手への苦言だったのだ。

 ただ、同じことはつい3カ月前のこの男にも言えた。

 小林誠司捕手である。

成長をアピールできなければ、プロでは生き残れない。

 今季は阿部慎之介捕手の一塁コンバートに伴って、正捕手への期待を背負って開幕からシーズンに臨んだ。ところがフタを開けてみれば、リード面での未熟さや投手とのコミュニケーション不足、打力の弱さなど様々な課題を露呈した。

 しかも相川亮二捕手の戦線離脱で阿部の捕手再コンバートがあって出番が減り、ケガから復帰した相川が今度はしぶとい打撃などで猛アピールした結果、5月20日にはプロ入り初の二軍落ちとなったのである。

 大田にしても小林にしても、原監督はもちろん、チームとしても彼らをレギュラー選手に育て上げたいという方針がある。ただ、プロの世界でおいそれと場所を空けて「はい、どうぞ」というわけにはいかないのは当たり前の話である。

 彼らが生き残っていくためには、指揮官が求める「毎日の成長」をアピールできるプレーというのが、大きなカギとなるわけだ。

 ファームに落ちた小林の一番の課題は、やはりリードだった。

「自分本位というか、投手の良さを引き出すことよりも、自分の頭で組み立ててそれを投手に強いるようなところがあった」

【次ページ】 頭で考えた配球だけでは、投手の力を引き出せない。

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