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取材エリアで珍しく見せた「迷い」。
槙野智章は今大会をどう感じたか。 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/08/11 10:40

取材エリアで珍しく見せた「迷い」。槙野智章は今大会をどう感じたか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

最後尾で終始声を出してチームを鼓舞していた槙野智章だったが、チーム全体の状況を変えるまでには至らなかった。

 中国との最終戦を1-1の引き分けで終え、取材エリアに現れた槙野智章は、評価の目盛りをどこに定めて話すかを測りかねているように見えた。

 いつもならロッカールームで過ごすごく短時間のうちに、試合のポイントとなった部分を拾い上げ、整理し、自身の見解を加えた分析まで済ませ、頭の中に要点のメモがしっかりとあるような状態で取材陣の前に現れる。ムードメーカー的なイメージが強いが、サッカーに関しての受け答えは非常に的確。勝った試合でも負けた試合でも、常にクリアな視点を持てる選手である。しかし、中国戦後はいつもと多少様相が違っていたのだ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からは「結果がついてこなかったのは残念だが、自分たちのやりたいことはできた」と前向きな言葉を掛けられたというし、槙野自身も「ハリルさんのサッカーへのチーム理解度は徐々に上がっている」という手応えも感じていた。

 戦術浸透度は自分でも評価したい。指揮官の言葉も前向きにとらえたい。けれども、ポジティブな部分だけを額面通りに受け入れて終わりにできるはずがない。

 付け加えるなら、3試合4失点という数字は、槙野自身も2試合に出場して優勝した前回の3試合6失点よりむしろ少ない。けれども、それも勝利に結びつかなければむなしい。

「失点後に落ち着いて試合をコントロールし、ゴールを奪うことができたのは良かった。ただ今日に限っては結果がすべて。勝ちきれなかったところに、力のなさを感じている」

 槙野は、未勝利で最下位という結果を重く受け止めていた。

2010年にA代表デビュー、評価されたのは対人守備と仕掛け。

 '07年のU-20W杯出場など順調にステップアップしていった槙野が日本代表で初めて出場キャップを刻んだのは22歳のとき。岡田武史ジャパンが若手中心で臨んだ'10年1月6日のアジア杯予選イエメン戦だった。

 ゲームキャプテンに任命された槙野は右サイドバックとして先発し、後半開始からはセンターバックでプレーし、3-2の勝利に貢献した。対人守備の強さと果敢な仕掛けまで見せる攻撃力が大いに評価され、攻守において「ウォーリアー(戦士)」としての存在感を示すのに成功した。

【次ページ】 昨年浦和で覚えた「ゼロで終えたときの達成感」。

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