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CBコンビの離脱と走れないトッティ。
“元優勝候補”ローマ、目標は2位。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/05/13 10:50

CBコンビの離脱と走れないトッティ。“元優勝候補”ローマ、目標は2位。<Number Web> photograph by AFLO

勝てば2位浮上となる4月19日のアタランタ戦もドロー。指揮官ガルシアは「怒りしかない。我々はいいプレーをしなかった」と吠えた。

「スクデットはもはやユーベの手中だ」

 勝ち切れないローマは、年明けからドローゲームの泥沼にはまった。

 1月11日のラツィオとのローマ・ダービーを2-2で引き分けると、2月最後のベローナ戦までの8試合で6度も勝ち点3を取り損ねた。同じ時期に、王者ユベントスは勝ち点にして9点もローマを突き放していた。

 ホームのオリンピコにユベントスを迎えた25節の直接対決は、スクデットへ望みをつなぐ事実上のラストチャンスだった。

 しかしそこでも1-1のドローに終わり、もはや勝ち点差を埋められないことを悟った監督ガルシアは、白旗を上げた。

「スクデットはもはやユーベの手中だ。これから先は、何が何でも2位は死守しなければならない」

 春の本格到来を待つ前に、目標をリーグ2位に絞る、と宣言した指揮官の狙いは裏目に出た。選手たちの集中力が行き場を失ったのだ。

 ベスト16ラウンドに残っていたELでも、フィオレンティーナを相手に通算スコア1-4で敗退。特にホームでの2ndレグで喫した3失点大敗は、ロマニスタたちからの風当たりを一層強くした。

ポゼッションを諦め、危機を乗り越えたが……。

 ローマを覆うプレッシャーは、今も和らぐ気配がない。今季の戦力補強が十分でなかったことを認めたサバティーニSDも「今季の不振はメンタルの問題だ。(頭痛薬の)アスピリンを飲んだくらいでは解決にならん」と頭を抱えた。

 4月25日の32節で、インテルに敗れたローマはついに2位から陥落した。あろうことか、最も対立が激しいライバル、ラツィオに抜かれたのだから、クラブ内外の動揺は大きかった。

 それでも、ローマはこの今季何度目かの危機をどうにか持ちこたえた。洒脱で知られる指揮官ガルシアが、なりふり構うことをやめたのだ。

「我々はボールポゼッションにこだわらないことを決めた。後半にリードを奪えば、守備ラインを下げ、カウンター狙いに徹することも辞さない」

 33節サッスオーロ戦と34節ジェノア戦での連勝は、MFフロレンツィとFWドゥンビアによるアベックゴールと、ユーベには及ばずともリーグで2番目に少ない失点を堅持し続ける守備陣の奮闘がもたらしたものだった。DFマノラスを初めとするCBたちは、終盤に向けて再整備の兆しが見られる。

【次ページ】 フロレンツィ「ばあちゃん、俺、やったぜ!」

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