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初球のストライク率はメジャー仕様。
黒田博樹の初登板は「格」の勝利。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKyodo News

posted2015/03/30 11:50

初球のストライク率はメジャー仕様。黒田博樹の初登板は「格」の勝利。<Number Web> photograph by Kyodo News

マツダスタジアムは超満員の3万人以上、地元での視聴率は30%を記録した。黒田博樹の凱旋ストーリーはまだ始まったばかりだ。

 11時30分過ぎ、広島駅に到着すると、どっと赤いカープのユニフォームを着たファンが新幹線から吐き出された。

 ここにも赤、そこにも赤、向こうにも赤。

 広島駅南口からスタジアムまではおよそ800m、観戦に向かうファンの列は途切れることはなく、まるで巡礼に向かう人の流れのようだった。

 そう、黒田博樹を観る人たちの列だ。

 プレーボールは3月29日の午後1時30分、黒田がマウンドに上がると歓声が轟いた。近ごろでは、ちょっと記憶にないほどの大音量だった。

 ファンの声援をバックに、黒田は淡々と投げ続けた。そう、ヤンキース時代のように。気負わず、仕事っぷりが変わらないところがいかにも黒田らしかった。

 肝心の投球内容はどうだったか。試合直後の黒田の感想はといえば……。

「力が入りすぎて、バランスが良くなかった」

 たしかに力み過ぎて球が上ずり、メジャーリーグでのトレードマークだった膝元へ落ちるツーシームが、打ちごろのところに入っていくケースも見られた。

内角を意識すると、外角の球が遠く見える。

 しかし、黒田の「格」がモノをいう。3月8日のオープン戦でヤクルトを完璧に抑えた内容が「伏線」となっていた。

 象徴的だったのは、7回表の最後の1球。ヤクルト8番の中村は(公式戦初対戦にして、この日もっとも黒田の球を見極め、3打席で17球も投げさせた)、外角のファストボールを見逃し、三振に倒れ、こう振り返った。

「内角を意識していたので、外角の球が遠くに見えて仕方がなかった」

 メジャー仕込みの、黒田のツーシームは厄介だ。

 それが各打者の頭に刷り込まれ、中村のように外が無警戒になるケースと、内角に甘い球が来ているのにもかかわらず、難しい球に対処するかのようなバッティングで、仕留め損ねるケースも見られた。

 第1ラウンドは黒田に軍配が上がった。

【次ページ】 初球のストライク率はメジャー時代と変わらず。

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