錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

なぜ錦織圭は逆境でこそ輝くのか?
異国での修行で磨いてきた2つの力。  

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2015/03/16 17:00

なぜ錦織圭は逆境でこそ輝くのか?異国での修行で磨いてきた2つの力。 <Number Web> photograph by Hiromasa Mano

チャン・コーチからはいつも「Believe yourself(自分を信じろ!)」と言われている錦織。チャン・コーチの高度な作戦が実行できるのも、錦織の類まれな能力のなせる業だろう。

 テニスは変化の連続だ。

 準優勝したアカプルコのサーフェスは「ツアーでももっとも遅いコートの部類」だったと錦織は言う。翌週のデビスカップでカナダが用意したのは超高速のインドアコートだった。その翌週、12日に本戦が開幕したインディアンウェルズ・マスターズはまた遅い。

 全てサーフェスのタイプとしては〈ハードコート〉と括られるが、その性質はかなり違う。アウトドアとインドアがあるのはもちろん、たとえば「遅さ」にもいろいろあって、ボールが高く弾むもの、弾まないが重いバウンドのもの……サーフェスのみならず、ボールの種類や気候や気圧によっても、バウンドはその時々で違った性格を見せる。

 ほとんどがバウンドしたボールを打ち合うテニスという競技において、バウンドのコンディションがその都度異なるということは、考えてみれば大変な事態であり、順応力という能力はテニスプレーヤーの資質として極めて重要だろう。

デ杯ラオニッチ戦前、よぎったひとつの敗戦。

 デ杯敵地バンクーバーでの錦織は、その能力の高さをあらためて見せた。

 前述のように、用意されたサーフェスはとても速かった。ボールが弾まず滑ってくる。カナダの選手はエースのミロシュ・ラオニッチも2番手のバセック・ポスピシルもサーブが武器で、それを生かすサーフェスであることは間違いなかった。

 錦織は18歳だったデ杯デビュー戦をアウェーで戦ったあと、ホームで7つの試合に加わったが、出場した単複計14試合の中で一つだけ黒星がある。2012年のワールドグループ1回戦、相手はクロアチアのイボ・カルロビッチだった。208cmの超ビッグサーバーに完璧にやられた映像が、時速230kmのサーブを放つラオニッチと無風のインドアでの速いコートとの組み合わせと聞いて、どうしても脳裏に蘇った。

【次ページ】 錦織封じのコートにむしろ見出した勝機。

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