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阿部勇樹を叫ばせた浦和サポの罵声。
彼らの挑戦に尊敬と、少しの時間を。 

text by

近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2015/03/06 10:30

阿部勇樹を叫ばせた浦和サポの罵声。彼らの挑戦に尊敬と、少しの時間を。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

非難の声を上げるサポーターに熱弁をふるう阿部勇樹。彼がここまで感情的になる姿はかつて見たことがない。

 気温は12.9℃、さほど寒くない夜だった。

 キックオフは水曜日の19:30、埼玉スタジアムには13527人の観衆が集まった。南スタンドの片隅に集まったブリスベン・ロアーのサポーターは100人もいなかったから、およそ13400人のサポーターの声援を受け、浦和レッズはこの試合を戦った。

 今季の浦和はすでに公式戦を2試合戦い、2敗を喫していた。

 1敗目は1週間前の水原で、2敗目は4日前の日産スタジアムで。

 ACLグループリーグ第1戦となった対水原ブルーウィングスも、ゼロックススーパーカップのタイトルをかけて戦ったガンバ大阪戦も、スコアは異なるものの(1-2と0-2)、レッズがサポーターに対して残した印象はほぼ同じものだった。

 またこうなるのかよ! やっぱりこうなっちゃうのかよ!

 ボールは支配する。相手陣内にそれなりに押し込みもする。しかしながら、気がつけば敵のカウンター一発で失点をし、あるいはイージーなパスミスでさらに失点する。脆すぎる。

こりゃダメだ。それが前半を終えての正直な印象だ。

 昨季のJリーグ、浦和は勝ち点わずか1差で優勝を逃した。言い方を変えれば、2位、だった。しかし彼らが終盤に見せた脆さ、無様な失点の光景は、埼玉スタジアムのスタンドに満足感よりもある種の猜疑心を残したままシーズンの幕引きをしてしまった。

 3月第1週の水曜の夜、試合はこれまでの2試合とは少し異なる展開で始まった。

 前半3分、右サイドの裏を抜け出したブリスベンのボレッロは、角度のないところから右インステップを強く振り抜き、西川周作の左手横を切り裂く。1-0。

 黒色のセカンドジャージに身を包んだブリスベン・ロアーの11人は、特に傑出した選手は見当たらないものの、いずれもがしっかりとボールを止めて蹴ることができ、かつ肉体的な強さを持った選手だった。

 前半開始早々から、彼らは前線から強く早いプレッシャーをかけ、浦和に息をさせなかった。浦和はその激しく素早いプレッシャーに焦り、とまどい、やみくもに逆サイドへのダイレクトパスを試み、簡単なトラップミスやショートのパスミスからチャンスを失ってゆく。ブリスベンのパスワークは多彩とは言えないが、普段Jリーグでは見ることのない球足の速さを見せていた。浦和のディフェンスはそのパススピードについてゆけず、次第にマークがずれてゆく。シュートコースが空く、ブリスベンの選手たちはためらわずミドルシュートを打ち込んでくる。

 こりゃダメだ。それが前半45分が終わったときの正直な印象だ。

【次ページ】 これはもうJリーグそのものの問題だ。

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