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王者の警戒が示す、錦織圭の成長。
フェデラーが講じた「不利」ゆえの策。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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posted2014/11/12 11:00

王者の警戒が示す、錦織圭の成長。フェデラーが講じた「不利」ゆえの策。<Number Web> photograph by AFLO

リズムを崩すことを徹底してきたフェデラーに翻弄され、2戦目を落とした錦織圭。33歳の大ベテランに、王者の力を見せ付けられる結果となった。

「彼(錦織)はこれまで、相手が誰でもグラウンドストロークで優位に立てることを示してきた。簡単には倒せない相手だ」

 試合後のロジャー・フェデラー(スイス)の言葉である。ツアーファイナルに13年連続出場、6度優勝の“キング”は、錦織圭とのラウンドロビン(4選手による総当たり戦)第2戦に、並々ならぬ警戒心を持って臨んだに違いない。

 過去の対戦成績は2勝2敗。2011年、地元スイス・バーゼルでの初対戦では一蹴したが、'13年のマドリード、今年のマイアミと連敗。得意の芝の大会、6月のハレ(ドイツ)でフェデラーがようやく対戦成績をタイに戻した。

 直近の3戦では、フェデラーが錦織とのストローク戦を嫌がる様子があった。片手打ちバックハンドの泣き所である高い打点を錦織に突かれ、難渋した。レーザービームのようなストロークが錦織の逆襲の餌食となり、立ち往生する姿もあった。

 しかし、過去に味わわされた苦渋、そして24歳の若者への警戒心が、この試合ではプラスに働いた。

駆け引き、読み合いで錦織を翻弄したフェデラー。

 フェデラーの用意した武器の一つがサーブだった。記録したエースは7本。錦織にとって、威力やスピードが脅威だったのではない。フェデラーの組み立ての巧妙さに苦しめられた。

 試合直前の練習で、錦織が最後に行なったのが、ポジションを上げて攻撃的に打ち込むリターンだった。このコートサーフェスは球足が遅めで、高速サーブも大きな効果を持たない。現にミロシュ・ラオニッチ(カナダ)やトマーシュ・ベルディハ(チェコ)といったビッグサーバーが初戦で力を出せずに敗れている。錦織はフェデラーのファーストサーブに食らいつき、セカンドサーブを積極的にたたくことで、相手のサービスゲームを破ろうともくろんでいたはずだ。

 しかし、フォアサイドの角度をつけたゆるいサーブは、錦織をあざ笑うかのように大きく逃げ、これを警戒しているとセンターに速いサーブを打ち込まれた。

「(ある程度は)とれると思っていたが、ほとんどエースだったり、セカンドサーブもスピードを上げてきたり変化をつけられ、なかなか(前に)入っていく隙がなかった」

 と錦織。駆け引き、すなわちコースや球種の読み合いで後れをとり、リターン練習の成果を披露する場面も少なかった。錦織にブレークポイントのチャンスは3度あったが、これを一度も生かせなかった。

【次ページ】 積極性が空回りし、アンフォーストエラーが30本に。

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