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<フランス人記者が明かす> ハメスを覚醒させたモナコでの400日。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2014/08/28 11:00

<フランス人記者が明かす> ハメスを覚醒させたモナコでの400日。<Number Web> photograph by AFLO
トントン拍子で銀河系軍団の仲間入りを果たした若人の、
大きな飛躍のカギは昨シーズンの成長にあった。
輝ける10番がフランスでの1年間で得たものとは。

 2013年5月24日、5年契約で4500万ユーロという21歳の若者の移籍金が、フランス国内の移籍金記録(当時)を更新した。ハメス・ロドリゲスはジョアン・モウチーニョ(2500万ユーロ)とともに、破格の値段でポルトからモナコに加入したのだった。「ちょっと驚きだった」とレキップマガジン誌のクリストフ・ラルシェはいう。

「もっと大きなクラブに行くと見られていたからだ。しかしモナコは莫大な資金を投下して多くの選手を集め、提携する代理人のジョルジュ・メンデスに手持ちの最高の選手を売るように依頼した」

 1部に昇格したばかりのモナコは、2011年末にモナコ公国とともにクラブの共同オーナーとなった、ロシア人富豪ディミトリ・リボロフレエフ会長の肝いりで、リーグ優勝とチャンピオンズリーグ出場権獲得を目標に掲げ、総額1億6600万ユーロというなりふり構わぬ補強をおこなった。ラダメル・ファルカオはじめジェレミー・トゥラランやエリック・アビダル、リカルド・カルバーリョ……。続々と発表される大物たちの加入は、クラブの本気を示していた。

「才能を鑑みれば、彼にはリーグ最優秀新人になって欲しい」と、バディム・バシリエフ副会長はロドリゲスへの期待を隠さなかった。

大きな期待に反して開幕直後は“蚊帳の外”だった。

 だが、期待に反して、スタートは驚くほどに地味だった。初戦のボルドー戦ではトップ下で先発出場。しかし動きに精彩を欠き72分で交代。アウェーで快勝したチームにあって、ひとり攻撃のブレーキになってしまった。以降、ベンチを温める日々が続き、9月末までの8節でスタメンはわずか1度きり。5勝3分(首位)とスタートダッシュを決めたチームの、完全に蚊帳の外に置かれてしまった。

 ポルトガルリーグに比べ、リーグ1はフィジカルコンタクトが激しく、ただでさえ身体面ではきつい。

「ボールを受けると、すぐに2~3人がスペースを詰めて奪いにくる。厳しさがポルトガルとは全然違う」とロドリゲスは告白する。

 加えてコロンビア代表でのワールドカップ南米予選で、ふくらはぎと腰を続けざまに負傷し、自身が調子を落としたこと。さらには恋人(コロンビア代表GKオスピナの妹で、バレーボールの元同国代表)との間に娘が生まれ、私生活でも転機を迎えたこと……。様様な要因が適応を難しくした。

【次ページ】 「ハメスは努力していない」とラニエリは言い放った。

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