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カッコ悪くとも、必死さは人を動かす。
浦和が見せたスタイル無視の同点劇。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS

posted2014/08/09 10:40

カッコ悪くとも、必死さは人を動かす。浦和が見せたスタイル無視の同点劇。<Number Web> photograph by J.LEAGUE.PHOTOS

昨シーズンはDFながらリーグで9得点をあげ、Jリーグベストイレブンにも選ばれた那須大亮。移籍組ながら、熱い人柄でサポーターからも絶大な支持を受けている。

 ワールドカップブラジル大会の日本代表はポゼッションサッカーなどといわれた。細かいパスをつないで、できるだけボールを保持しながら攻めつづける。南アフリカ大会のチームが守備を固めて、あまり手をかけずに攻めることを目標にしたのと対照的だった。スタイルで分類すれば、ブラジル大会の代表は攻撃的で、南アフリカ大会のは守備的といえるかもしれない。

 面白いのは攻撃的なはずのブラジルのチームが3試合で2点しか取れず、守備的な南アフリカのときのチームが4点取ったことだ。代表監督選びの責任者、原博実さんがFC東京の監督をしていた時、面白いことをいっていた。

「ウチは攻撃的なチームなんだけど、なかなか点が入らないんだよなあ」

 ブラジル大会のあと、ふと、かつての原さんの言葉を思い出して苦笑してしまった。

堅い浦和が、意外な一面を見せた試合。

 話はJリーグ。今年の浦和レッズは守りが堅い。J1では7月23日までの7試合を連続無失点で切り抜け、J1リーグの新記録を作った。そのあとの試合で失点したが、それでも2点以上取られたのは4月26日の柏レイソル戦にまでさかのぼらなければならない。得点ランキングではもっと上のクラブもある。8月2日のヴィッセル神戸戦を迎える時点で首位にいた原動力はこの守備の堅さだといってよい。

 その「守備型」のチームが神戸との試合では意外な面を見せてくれた。

 浦和の守備が堅いうえに、神戸はFWのペドロ・ジュニオールが出場停止になっていた。これは浦和が序盤で先制したあと、きっちり守って逃げ切りか。そんな展開を予想していたら、前半17分、梅崎司のパスを受けた興梠慎三がパスを出すと見せて大きくターンしてDFをほんろうし、鮮やかなシュートを決めた。予想通り。

 だが、このあとが違った。追いかける神戸は浦和の速い寄せと考えられた守備になかなか突破口が見いだせないように見えた。ところが後半の15分を過ぎたあたりから、急に神戸の動きがよくなった。17分にコーナーキックを河本裕之が頭で合わせてゴールを決めると、徐々に浦和のプレスにも負けなくなり、カウンターをくり出して浦和の守備陣をあわてさせる。

【次ページ】 一瞬の隙を突かれ、久々の追う展開に。

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