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リーグ最強の打線と、最弱の投手陣。
最下位ヤクルトが挑む“下剋上”。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/07/22 16:30

リーグ最強の打線と、最弱の投手陣。最下位ヤクルトが挑む“下剋上”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

7月21日時点で日本人打率トップと、リードオフマンとしてヤクルト打線を牽引する山田哲人。投手陣さえ整備されれば、このチームは怖い。

 今季のヤクルトほど投打のバランスが極端に偏っているチームも、近年では珍しい。

 チーム打率は、セ・リーグ2位の阪神の2割6分7厘に大差をつける2割8分3厘で1位。一方で防御率は、セ・リーグ5位のDeNAの4.27を大きく下回る4.90で6位(今季の成績はすべて7月21日現在)。そんなヤクルトの現在地は、最下位である。

 要するに、好調の打線を補えないほど、投手力が著しく低迷しているというわけだ。

 この悪循環を打破するべく、後半戦に入って早々にチームが動いた。

 ソフトバンクから新垣渚と山中浩史の両投手をトレードで獲得したのだ。

 ここ数年結果を残していない右腕と、実戦経験が少ない2年目ではある。しかし、ヤクルトで言えば、2008年に日本ハムから移籍して以降、中継ぎの柱として大車輪の働きをした押本健彦のように、環境が変われば大化けする見込みだってあり得る。

 だからこそ、小川淳司監督は「起爆剤になりうる可能性は十分にある。今のヤクルトを考えればそういう選手が必要」と、新垣と山中の奮起に期待を寄せるのだ。

小川とバーネットが復帰も、頼みの綱はやはり打線。

 さらに明るい材料を挙げれば、左ひざの後十字靭帯を負傷した守護神のバーネットが7月に入って本格的に復帰。右のエース・小川泰弘も右手の骨折が完治し、7月21日の広島戦で3カ月ぶりの勝利を手にした。右ひじを故障している館山昌平とロマンの今季中の復帰は絶望的だとしても、確実に陣容は整いつつある、というわけだ。

 だからといって、5点台に迫るチーム防御率が飛躍的に改善されると考えるのは、あまりにも短絡的すぎる。

 ヤクルト浮上のカギ。それは、やはり相手チームから恐れられる打線になるだろう。

 '10年にレギュラーシーズン3位ながら日本一に輝き、「史上最大の下剋上」を実現させたロッテは、チーム防御率がパ・リーグ5位の4.10ながら、打率はトップの2割7分5厘をマークした。4番にサブローを据えるなど、打線の繋がりを重要視した攻撃でリーグ1位の708得点を叩き出した。ただその時のロッテと現在のヤクルトを比べても、昨季60本塁打とシーズン記録を塗り替えた絶対的な主砲、バレンティンがいるヤクルトのほうが断然、破壊力がある。

 そして、圧倒的な攻撃力を支えているのはバレンティンだけではない。

【次ページ】 山田、雄平とともに3割をマークする川端の適応能力。

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