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11人のチームと、“独裁者”の決勝戦。
「至高のW杯」はどちらの手に。

posted2014/07/11 16:30

 
11人のチームと、“独裁者”の決勝戦。「至高のW杯」はどちらの手に。<Number Web> photograph by Getty Images

ブラジルに大勝し、クローゼはW杯通算最多となる16ゴール目も決めた。チーム状態もまさに万全と言えるドイツが、南米の地で王座に着くのか。

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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 世界一の座をかけて、ドイツとアルゼンチンが聖地マラカナンで激突する。

 ファイナルでの両者の対戦は、ドイツが通算3度目の優勝を果たした'90年イタリア大会以来24年ぶりだ。その前の'86年メキシコ大会決勝でも両者は対戦し、その時はアルゼンチンが勝っている。

 今大会、2つの代表チームが戦ったセミファイナルは対照的なものだった。

 4大会連続4強進出という金字塔を打ち立てたドイツは、開催国ブラジルを完膚なきまでに粉砕した。「7-1」という歴史的大勝の衝撃は、今なお大きい。

 一方のアルゼンチンは、オランダとの準決勝で両チームが120分間ノーゴールに終わり、PK戦の結果辛くも決勝の切符を手に入れた。

ドイツの専門家の予想は「ドイツは優勝できない」。

 両者の戦いぶりから、決勝戦でのドイツ優位を予想する声は強い。

「ドイツ代表は準決勝で敗退する」

 大会が開幕する前、ケルンのスポーツ専門家チームは綿密なシミュレーション実験によって、ドイツの準決勝敗退を予測していた。

 彼らはその後、あらゆるデータを入れ替えてシミュレーションを数万回もやり直し、「決勝には行ける」と予測を上方修正することには成功した。

 ただしドイツがドイツたる所以は、決して楽観的予想に逃避しない点にある。やり直したシミュレーションでも、「優勝できない」という最終予測の結果は同じだった。

 代表監督レーブはもちろん、そんなものを信じていない。代表に携わってから10年、集大成として今大会に臨む指揮官は、決勝トーナメント前夜に確信を込めて語った。

「多くの欧州チームがグループリーグで敗退した。この大陸では南米の代表に地の利がある。(過去のW杯で)私は勝者の光も敗者の闇も見てきた。トーナメントで勝ちあがるために必要なのは、100m走のスプリント力ではなく、マラソンレースのペース配分なのだ」

【次ページ】 戦術修正を可能にする“バイエルン7人衆”の存在。

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