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「生ける伝説」フェデラー復活の兆し。
~全豪で2強対決は実現するか?~ 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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posted2011/01/16 08:00

「生ける伝説」フェデラー復活の兆し。~全豪で2強対決は実現するか?~<Number Web> photograph by Mannys photography

昨年のツアー・ファイナルズ決勝でナダルを下し5度目の優勝を遂げたフェデラー(右)

「いい形でシーズンを終えることができてうれしいよ。2011年もまた素晴らしい年になるだろう」

 世界ランキング上位8人だけが出場できる'10年のシーズン最終戦、ATPワールドツアー・ファイナルズを制したロジャー・フェデラー(スイス)は、笑顔で1年を振り返った。この大会、決勝では世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)を倒した。全豪オープン以来のビッグタイトルは、フェデラー健在をアピールするものだった。

 昨年は苦しいシーズン、だったと思う。春先に肺の感染症でツアーを離脱。全仏は準々決勝でロビン・セーデリング(スウェーデン)に敗れ、四大大会でのベスト4進出の連続記録が23でストップした。大会後に発表されたランキングでは2位に転落。そして、ウィンブルドン、全米でも決勝進出を逃してしまう。

 常勝を誇っていたフェデラーだが、30位、40位台に対する取りこぼしも増えた。位負けしてくれていた選手たちが、オレにも可能性がある、と挑んでくるから、一戦一戦、気が抜けない。そのうちに元王者の気力が萎え、ぷっつりと気持ちが切れてしまう――そんな最悪のシナリオも描けないことはなかった。だが、最終戦の優勝で彼は踏みとどまった。

「引退に向けての計画なんて何もないよ」

 少し意外だったが、フェデラー自身は「いいシーズンだった」と話している。「確かにつらい敗戦もあった。でも、出場する大会ですべて優勝できるわけじゃない。毎シーズン、(年間で4敗しかしなかった)'05年のような成績を残すことは非現実的だよ」というのだ。

 彼はおそらく“今の自分”を受け入れようとしているのだ。最終戦での会見では、こんな話もしている。

「引退に向けての計画なんて何もないよ。あと何年か、やれたらいいね。最高の選手たちと戦うことを、そして、練習で自分自身に挑戦することを僕は楽しんでいるんだ」

 最悪のシナリオは回避されるだろう。我々は、この生ける伝説のプレーを「あと何年か」楽しむことができるはずだ。となれば、期待はナダルとの2強対決。このところ四大大会の優勝をほぼ独占している両者だが、決勝での対戦は'09年全豪以降、実現していない。今度の全豪で二人の頂上対決が実現すればいいのだが。

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