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10代の未熟さから脱皮し、
西岡良仁が全日本で快挙。
~錦織圭の後輩、価値ある準優勝~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2013/12/03 06:00

10代の未熟さから脱皮し、西岡良仁が全日本で快挙。~錦織圭の後輩、価値ある準優勝~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

初めての全日本でノーシードから歴代優勝者・杉田、守屋の2人を倒し快進撃を見せた西岡。

 全日本選手権で18歳の西岡良仁が格上選手を連破、準優勝と健闘した。準々決勝でデビスカップ代表の杉田祐一にストレート勝ち。準決勝では昨年の全米本戦に出場した守屋宏紀を破った。決勝で第3シードの伊藤竜馬に敗れたが、10代男子の決勝進出は1989年に優勝した谷澤英彦以来24年ぶりの快挙だった。

 西岡は中学3年の夏から盛田正明テニスファンドの後押しで米国のIMGアカデミーに留学。昨年の全米ジュニアで4強に入り、この2月にはメキシコの下部ツアー大会を制した。来年1月のプロ転向も決まり、「米国でやっている分、日本でスポンサーを集めるのは大変。名を売りたい」と全日本に参戦。もくろみ通り、堂々と将来性をアピールした。

 錦織圭と同じアカデミーで腕を磨き、やはり錦織と同様に高校生年代で下部ツアー初優勝と、経歴だけ見ればエリートコースまっしぐらだ。しかし筆者には、もがき続ける彼の姿が印象に残っている。

“付け焼き刃”のメンタル改善でも、全日本で準優勝。

 全米の4強で自信を深め、優勝を目指して臨んだ今年1月の全豪ジュニアは3回戦で敗退。引き上げる西岡に声を掛けたが、ひどく落胆し、言葉が出てこない。

「話せるようになったら話してほしい」と言ってしばらく待つと、消え入りそうな声が聞こえた。「正直、ありえない(結果)です」。ウィンブルドンや全米でも結果は出なかった。周囲の期待を背負い、「勝たなきゃいけない」という思いが強すぎたのだ。

 集中力を失い、自分で試合を台無しにしてしまうもろさが彼の欠点だったが、それでも未熟な自分と必死で戦う姿は見て取れた。この秋、コーチに「同じ失敗を繰り返している。自分を見つめ直せ」と叱咤された西岡は、メンタルトレーニングに取り組んだ。専門のコーチに指導を仰ぎ、インターネットでもトレーニング方法を調べた。付け焼き刃とはいえ、全日本ではその成果が出た。

「課題であるメンタル面で大きなブレがなかった。トップの選手に勝てたのは、プロでやっていこうと思っている自分にはうれしいこと。少しは進歩したと思う」

 171cmと体格には恵まれていない。逆襲のカウンターパンチを磨き、弱点であったメンタル面を逆に武器と言えるレベルに鍛え上げれば、偉大な先輩、錦織の背中も見えてくるだろう。

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