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サム・アラダイスが電撃解任!
英国人監督の権威がプレミアで失墜。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2010/12/24 10:30

サム・アラダイスが電撃解任!英国人監督の権威がプレミアで失墜。<Number Web> photograph by AFLO

ブラックバーンをクビになったサム・アラダイス。さまざまなチームで指揮をとり、2001年に西澤明訓がボルトンに入団したときの監督でもあった

 まさに「明日は我が身」である。

 12月12日、ブラックバーンを率いるサム・アラダイスは、1-2で敗れたボルトン戦での会見で、前節の試合後にニューカッスルを解雇されたクリス・ヒュートン前監督への同情を口にした。「今時の監督に安泰はない」と嘆いたアラダイス自身が解雇の憂き目に遭ったのは、その翌日のことだった。

 チームが危機に瀕していたわけではない。

 17節を終えたブラックバーンは、トップ10入りまで1ポイントに迫り、降格圏からは5ポイント離れた13位につけていた。アラダイスの更迭は、11月にクラブを買収したインド系複合企業「ベンキーズ」の一存によるものだ。

 同社のアヌラダ・デサイ会長は、「魅力的なサッカーで上位を狙えるチームを作るため」と監督解任の理由を語っている。たしかに、最前線にニコラ・カリニッチのような長身FWを置き、セットプレーからの得点に頼りがちなブラックバーンのサッカーは見栄えの良いものではない。しかし、後任の目処が立ってもいない状態で、なぜシーズン途中での解雇に踏み切ったのか。

解雇の本当の理由は経営陣と監督の意見の相違というが……。

 スタイル変更には監督と共に選手の入れ替えも必要なはずだが、来年1月の移籍市場に新オーナーが用意している補強予算は総額でわずか500万ポンド(7億円弱)と言われる。トップクラスを1名買えれば御の字という程度の規模だ。プレミア監督界の重鎮であるアレックス・ファーガソン(マンU)が「全く馬鹿げている」と、アラダイスの処分に抗議するのも頷ける。

 実際の解雇の原因は、選手補強を巡る経営陣と監督との意見の相違だと見られている。

 今冬の移籍市場でアラダイスは、クレバーに動ける選手がいない前線の即戦力として、トッテナムが500万ポンド前後で買い手を募っているロビー・キーンの獲得を狙っていた。だが、経営陣が候補にあげていたのは、格安で手に入るミドルズブラ(2部)のクリス・ボイドだったという。アラダイスがクラブ側の人選を拒否すると、新オーナーはボルトンに敗れる前に監督の解雇を決めていたという。

 これは、イングランドにおいて監督の地位が大きく変化していることを意味している。

【次ページ】 典型的な英国人監督は「チーム作りの全権を握る者」。

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