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<山で磨く肉体と心> 山を走ること、世界を走ること。~トレイルランナー連続インタビュー~ 

text by

山田洋

山田洋Hiroshi Yamada

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photograph bySho Fujimaki

posted2013/09/03 06:00

<山で磨く肉体と心> 山を走ること、世界を走ること。~トレイルランナー連続インタビュー~<Number Web> photograph by Sho Fujimaki
ウルトラトレイル・マウントフジに参戦するために、
世界各国から来日した4人のトレイルランナーたち。
彼らの言葉からこの競技の魅力と深遠さを考えた。

好評発売中の雑誌Number Do『日本百名山を再発見~あの山はもっと遊べる!~』では、山登りの楽しみ方を様々な角度から切り込んでいます。
今回は山を駆けるプロたちのインタビューを特別に公開します!

「大自然の中にいるという感覚、自然と共に生きることが楽しいんです」

 セバスチャン・セニョーは、トレイルランニングの魅力をそう話し始めた。その茶目っ気たっぷりな性格と、世界最高峰の100マイルレース、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)における鏑木毅との激闘エピソードから、日本のトレイルランナーにもセバスチャンのファンは多い。

 だが、彼はバイオテクノロジーの研究のため22歳で一度走ることをやめたという。再び走り始めたのはその6年後のことだ。

「バイオテクノロジー、特に狂犬病の研究をしていたんです。でも、閉ざされた研究室でひとつのテーマを追求し続けるのは性格的に限界があって(笑)、スポーツショップで働き始めました。それからは朝6時に起きると、走って、朝食を取り、息子を学校まで送って、そこから夜の8時まで店員として働くという生活をしていました」

1年に150日は海外遠征、85日はPR活動、残りはトレーニング。

 当時暮らしていた街にはアップダウンが多く、再びランニングシューズを手に取ったセバスチャンは、距離が伸びるにつれて自分らしい走りができることに気がついていった。そして100マイルという距離のウルトラトレイルの世界に自然と引き寄せられていく。

セバスチャン・セニョー
1972年、フランス生まれ。世界最高峰の100マイルレース「UTMB」で'09年2位、'11年3位に輝くランナー。トレイルだけではなく、砂漠を走るアドベンチャーレースでも好成績を残す。UTMFでは3位。THE NORTH FACE所属。

 そして'09年のUTMBで見事に準優勝。この実績が高く評価され、翌年からプロトレイルランナーになった。

「プロになった今は、1年の150日は海外遠征、85日は映像撮影やプロモーション活動に費やしています。残りはトレーニング。店員だった時の方が、規則正しい生活を送れてバランスが良かったかもしれませんね」

 そんな彼に山を走ることから学んだことを聞いてみると、シンプルな回答が返ってきた。

「レースに出ると毎回新しいことを学べるのですが、特に、自分が失敗した時に一番多くのことに気がつくんです。研究者だったこともあって、失敗を冷静に分析するくせがある。それは練習でも、レース中も同じです。前に前に進もうとする自分の他に、今の身体の状態はどうか、そして身体の中でどんな化学反応が起きているのか理解しようとするもう一人の自分がいる感じですね」

【次ページ】 走っている最中は、脳内で楽しいイメージを繰り返す。

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