2013年夏。

　気温が上がったり下がったりで、猛暑なのか冷夏なのかはっきりしない今日この頃。そんなどっちつかずの夏には煮えたぎる鍋を喰らってのナイター観戦が恋しくもなります。

　そんな気分になったら、東京・国分寺。北口のうら寂しい路地の一角にある、もつ鍋の名店「もつ鍋 わたり」がおススメ。個人的には新しいもつの水炊きが超おススメ。

　ここの店主・中野渡進氏は福浦さんのロッテと谷繁さんの中日を応援している元横浜中継ぎ投手。この度、もつ鍋わたりFacebookのダイレクトメールに「本当は礼儀正しくて、言葉遣いも違うのに、某記事ではあんな口調で書かれているのは何でですか？」なる牽制がぽつぽつ紛れ始めたので、今回の野次馬ライトスタンドは、中野渡進氏による2013年ペナント前半戦総括を口語体でお送りする。（今回は、7月23日にお話を伺いました）

――……4位です。

中野渡（以下略）「あぁ!?　しらねぇよ。どいつもこいつも浮かれやがって。今年のセ・リーグ3位以下は実質最下位と同じだろ。詳しいことは知らねえけどよ。うちはもつ鍋屋だからな」

――そんな感じで、今年もペナントレース前半戦の総括をお願いいたします。

「前半戦？　それよりよ……この前、オールスターに行ってきたけどさ」

――何のですか？　鍋屋のオールスター戦ですか？

「ちげぇよ。プロ野球のオールスターよ。あの3戦目のいわきでの試合に行ってきた」

――どうしてまた、急に？

「いきなり谷繁さんから『オイ、わたり、オールスター観たくねぇか』って電話が来てよ。『いえ、間に合ってます』って丁重に断ったんだけどよ、『じゃあよろしくな』って。あの日に谷繁さんと息子をいわきまで送迎することになっちまってな。ついでに炭鉱博物館とかにも寄って、家族サービスまで満喫よ。谷繁さん、『復興の足しになれば』ってめちゃくちゃお土産買ってたわ」

改めてプロ野球はすげぇ世界だと思ったよ。

――谷繁さんが2000本安打を達成した試合でも、谷繁さんのご両親と息子さんを神宮まで送迎してましたよね。テレビには映ってませんでしたけど。

「いや、ありがたい話よ。おかげで谷繁さんの2000本安打も間近で見れたからな。……あれは、久しぶりに胸の奥から熱いものが込み上げてきたよな。今回も、オールスターなんて俺の人生で初めての経験だったけどよ、球場に入る時なんて『谷繁だ！　谷繁！』ってお客さんがものすげぇ歓声と熱気でさ、鳥肌が立ったわ。

　ファンもどうせ皆巨人ファンなんだろうと思ってたけどよ、大竹がコールされたら狂ったように『おおたけぇぇ！！！』って叫んでる子供がいたりよ、阪神ファンがジェット風船飛ばしたり、それぞれにファンがいるんだよな。横浜の選手の時だけはお通夜みてぇにシーンとしてたけど。

　あれを見ちまうと、オールスターを地方でやるのも意味があると思うよ。選手にはキツいと思うけどよ、あんだけ楽しみにしているファンがいっぱいいるんだからな。改めてプロ野球はすげぇ世界だと思ったよ。

　それと、現役を引退してから、ベンチ裏まで入ったのは初めてだったからな。あそこは選手にとっての聖域だから、これまでどんなに誘われても断って来たんだけど……谷繁さんが『いいから来い』って言うからよ……食堂でケータリングまで食べちゃったじゃねぇか。後から入ってきた小川監督に明らかに不審人物を見る熱い視線をいただいちまったけどよ」

――わかります。

【次ページ】　俺の方が何でオールスターに俺がいるのか聞きたいわ。