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井口資仁を奮い立たせる
若手への意地と温かい心。
~ロッテの主軸としての責任感~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/07/30 06:00

井口資仁を奮い立たせる若手への意地と温かい心。~ロッテの主軸としての責任感~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 ここ4年間、ロッテは間違いなく井口資仁のチームだった。

 西村徳文監督率いるロッテが日本一になったのは、まだ記憶に新しい2010年。あの時若手の精神的支柱になっていたのが、主将の西岡剛(現阪神)や選手会長のサブローに加え、メジャーから日本に復帰して2年目の、優勝経験を持つ井口だった。

 30代も後半に差し掛かりながら、率先して結果を残し、得点圏打率3割4分、打点はリーグ2位の103を記録。クライマックスシリーズに入ると、「ここで燃えなければ必ず悔いが残るんだ」とナインにハッパをかける井口の姿があった。西岡は当時、「井口さんから優勝の奥深さを学んだ」と語っていたほどだ。

 '05年、メジャー移籍を果たした井口が、条件闘争にばかり走る代理人に告げた思いがある。

「メジャーで勉強したことを日本に戻って、伝えたい」

 そう言って条件を下げることも厭わずホワイトソックスに入団し、1年目でワールドシリーズ制覇を経験。メジャーの4年間で494本の安打を放った。メジャーで学んだことは、「自己管理とフォアザチームの精神」と井口は言う。それを見事に発揮したのが、'10年だったのだ。

若手が大舞台を踏むためにも「自分たちがひと踏ん張りしないと」。

 38歳で迎えた今シーズン、肩の古傷もあり、守備範囲などに衰えが指摘されていることも事実だ。4月13日のソフトバンク戦で2三振に倒れると、次の日本ハム戦、井口はプロ入り初めてとなる一塁へのコンバートを命じられた。だがその日、4打数4安打3打点の大当たり。ベテランの意地を存分に見せつけた。

 若手に追われている現状を、本人は「まだ負けられないという思いと、記録が気持ちの張りを作っています」と語る。

 その記録、日米通算2000安打を間近にした阪神との交流戦の試合前だった。井口を兄のように慕う西岡がやって来て、「2000本は引退の一里塚って言いますよ。日本シリーズで会いましょう!」と憎まれ口を叩いて走り去った。

「若手は日本シリーズのような大舞台を踏んでこそ成長する。そのために、経験者の自分たちがひと踏ん張りしないと」と、ライバルである若手にも温かい目を向ける井口。こういうベテランが引っ張るチームは強い。

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