ベースボール・ダンディBACK NUMBER
国母“腰パン”騒動で考えた、
プロ野球におけるカッコ良さって?
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byToshiya Kondo
posted2010/02/23 10:30
バンクーバー五輪の「国母和宏・腰パン&舌打ち騒動」をながめながら、プロ野球のことを思い浮かべていた。
「普段チームの試合に出ているときは茶髪でもいいけど、WBCや五輪でジャパンに選ばれたら茶髪は許されないぞ。国民の代表なんだから個人の自由は通らないぞ」
野球の世界でも、昨年や一昨年、そんな意見をずいぶん耳にしたからだ。
「公式ユニフォームを着崩すオレって、カッコいい。批判されても軽く受け流すオレって、もっとカッコいい!」
二十歳そこそこの男子ならば、そんな価値観を振りまくことは、ありすぎるくらいよくある話だ。問題はそれがどこで通用して、どこでは通用しないのか、その基準は何で決まるのか。国母はそこを間違えたのかもしれない。
ならば、これはどうか。
「茶髪にヒゲのプロ野球選手のオレって、カッコいい。プロなんだから見た目は関係ないだろ。グラウンドで結果を出せば文句はないだろ」
これは正しいのか、正しくないのか。カッコいいのか、カッコよくないのか。
心情的には、ちょっとだけカッコいい側に入れたい。
では、こちらはどうか。
「今までは茶髪にヒゲだったんだけど、新監督が見た目にうるさい人で茶髪禁止らしいんだ。だから、すっぱりやめて黒い髪に戻したよ」
これは正しいのか? 正しくないのか?
カッコいいのか? カッコよくないのか?
どうも……ちょっとカッコよくない側に入れたいところだ。
実績は一流なのに、毀誉褒貶相半ばする「男・村田」。
などと頭を巡らせていたら、ひとりのスラッガーの顔が浮かんできた。横浜ベイスターズの村田修一である。
村田は毀誉褒貶の相半ばする選手だ。'07年、'08年と二度の本塁打王を獲得。WBCではジャパンの4番という大役を務めて世界一に貢献した。打者としての実績は一流である。
それでいて不評も絶えない。まだら模様の刈り上げモヒカンヘアといった派手な見た目から、事あるごとに自分を「男・村田」と呼ぶその言動まで、気に障る人には気に障るようで、ホームランばかり狙ってチームバッティングをしないなんていう本業の批判まである。
私にとっては好きな選手のひとりでもあり、ここでは村田個人を裁判にかけるのが目的ではない。カッコいい野球と、カッコよくない野球を考える上で、村田修一という選手はいろんな題材を提供してくれる。外見や言動ではなく、グラウンド内のプレーでそれを考えてみたいのだ。