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<マラドーナ後の世界> アルゼンチン 「加速するメッシ絶対主義」 

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藤坂ガルシア千鶴

藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia

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photograph byAFLO

posted2010/09/27 06:00

9月7日、メッシの先制点から始まる猛攻の末、王者・スペインを4-1で撃破

9月7日、メッシの先制点から始まる猛攻の末、王者・スペインを4-1で撃破

良くも悪くも人目を引く、破天荒極まる指揮官は、
またもや大騒動を巻き起こしつつ、チームを去った。
その後、暫定監督を任された男の手腕と評判は――。

「グロンドーナには嘘をつかれ、ビラルドには裏切られた」

 7月28日、一時は続投でほぼ決定と思われていたディエゴ・マラドーナがAFA(アルゼンチンサッカー協会)と“喧嘩別れ”、スキャンダラスな発言を残し、代表監督の座を去った。就任以来、わずか1年8カ月後の出来事だった。

 マラドーナに言葉の刃を向けられたのは、グロンドーナAFA会長とビラルド代表ゼネラル・マネージャー。その後しばらくは、この2人とマラドーナの間で弁明と非難の応酬が続くことになった。

「言い合いをしてもアルゼンチンサッカーのためにならない。早々に問題を解決して次のステップに進むことが望ましい」

 キャプテンのハビエル・マスチェラーノは、ピッチ外でのトラブルについて深く言及することを避けたが、フアン・セバスティアン・ベロンは問題を敢えて強調。「AFAには変化が必要。今の時代を理解できる若いリーダーたちが先導しなければならない」と語ることで、30年も続いているグロンドーナ政権の終焉を促した。また、カルロス・テベスに至っては「グロンドーナは約束を守らなかった」としてマラドーナを擁護しただけでなく、「AFAの幹部はいつだって中途半端だ」と非難。国民からの支持が高いテベスだけに、一時はAFAに対する反感が世間一般に広まることが懸念された。

メッシから絶大な信頼を寄せられるセルヒオ・バティスタ。

 ところが、サッカーファンの興味が8月初旬に開幕したリーグ戦に一気に流れ、また8月11日に行なわれたアイルランド代表との親善試合を勝つと、AFAを取り巻く騒動は自然に鎮静化する。暫定監督として代表を指導するセルヒオ・バティスタは、吹き荒れた嵐のあとをマイペースで歩んでいる。

 マラドーナが指揮した全試合を取材したスポーツ紙「オレ」のアドリアン・ピエドラブエナ記者は、バティスタについて「騒動の後に代表監督を務めるには最適の人物」と語る。

「'08年からU-23代表の監督を担い、北京五輪で優勝。メッシやアグエロといった、新世代の選手たちとのフィーリングも良い。U-20W杯の出場権を得られなかった失敗にも挫折せず、その後も地道にユース代表の指導に取り組んでいる。穏やかな性格に、元代表選手という肩書きも手伝って、選手たちから敬愛されている彼は代表監督に適任だ」

 アルゼンチンのメディアは、特にメッシがバティスタに絶大な信頼を寄せていることを重要なポイントとして取り上げている。

「僕はチェチョ(バティスタの愛称)が暫定ではなく、正式な監督だと思って指示に従っている。このまま彼が監督に就任してくれるといいね」

(続きは Number762号、もしくはNumberモバイルで)

Number762号 表紙Sports Graphic Number 762
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