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「世界屈指」から「最低」へ。
F・トーレスに何があったのか? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2010/10/01 10:30

「世界屈指」から「最低」へ。F・トーレスに何があったのか?<Number Web> photograph by AFLO

2-3で敗れたマンチェスターU戦でのF・トーレス。敵将・ファーガソンに「我々の選手を退場に追い込むためオーバーに倒れた」などとも批判され、散々だった

 素早くスルーパスに反応すると、難なくDFをかわし、GKの手が届かないコースに流し込む。2007年8月19日のチェルシー戦で、フェルナンド・トーレスが決めたプレミアリーグでの初ゴールは、アトレティコ・マドリードからリバプールに移籍した「本物」による、名刺代わりの強烈な一発だった。トーレスは移籍1年目から合計33得点。誰もが認める「世界屈指」のCFとしてプレミアでの過去3シーズンを送ってきた。

 ところが今季は、いきなり「最低」レベルの評価を受けている。

 今季、リバプールは6節終了までのアウェーでの3試合(対マンチェスターC、バーミンガム、マンチェスターU)で、わずか勝ち点1に終わっている。その3試合でのトーレスの国内各紙での評価は、軒並み10点満点中5点以下という有様だった。9月12日のバーミンガム戦(0-0)では、テレビ解説者のジェイミー・レドナップから辛辣に批評された。元リバプール主将としての歯痒さもあったのだろう。レドナップの口からは、「最悪」、「悲惨」、「怠慢」、「無気力」といった言葉が次々と飛び出した。

わずか3年で世界最高の実力が衰えることなどありえない!?

 しかし、手のひらを返したような酷評はいきすぎだろう。

 筆者は、「評価が『驚異的』から『絶望的』に豹変する方がどうかしている」という、ロイ・ホジソン監督の意見に賛成だ。23歳にして「世界最高」レベルと讃えられた実力が、3年後にいきなり衰退してしまうとは思えない。今季のトーレスは、開幕時に実力をフルに発揮できる状態になかっただけのことだ。

 リバプールでのトーレスの出場試合数は、移籍1年目の46から、38、32と減少している。'07年の夏は、アトレティコでシーズンを終えた後、休養十分でリバプールのプレシーズンに参加できたが、その後3度の夏には、EURO2008、コンフェデ杯、W杯と、スペイン代表での国際大会があった。疲労が蓄積したままの体は度重なる怪我に襲われるはめになる。今年は、膝にメスを入れ、南アでグローイン(股関節)まで傷めた末に開幕を迎えている。

 非難を浴びたバーミンガム戦は今季初のフルタイム出場。しかも、代表でのアルゼンチン遠征の長旅から戻ったばかりというハンディを抱えていた。

【次ページ】 大きく空いた中盤守備の“穴”が攻撃の集中力を削ぐ。

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