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中村俊輔好調の陰に中町公祐あり。
マリノス快進撃を支える“サッカー脳”。 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byAFLO

posted2013/04/12 10:30

中村俊輔好調の陰に中町公祐あり。マリノス快進撃を支える“サッカー脳”。<Number Web> photograph by AFLO

中町は1985年9月1日生まれ、174cm、74kg。Jリーグは5節終了時点で全試合にフル出場している。

 ナビスコカップの大宮戦に敗れ、開幕から続く公式戦での連勝が途切れた4月3日、しかし横浜F・マリノスの樋口靖洋監督は「ネガティブになるような試合ではない」と手に余る感触の良さを強調した。

「これで連勝の流れが途切れてしまいましたが、何も落ち込む必要はない。コンディションを戻して、また次の試合に向かっていきたい」

 それから3日後、敵地で行われたサンフレッチェ広島との対戦で、横浜FMは再び勝利を手繰り寄せた。指揮官の言葉は虚勢ではない。それを物語るように、激しく降り続く雨の中でも選手は躍動した。リーグ戦では無傷の5連勝。得失点差は「+11」。もちろん首位である。

 この一戦においても、横浜FMの背番号25、トップ下に位置する中村俊輔の存在感は際立っていた。

 懐の深いボールキープ。踏み込みの強弱だけで相手を惑わすフェイント。緩急と長短を掛け合わせて変化する多彩なパス。それらの間に強烈なミドルや縦への突破を挟み込むから、対峙する相手は何とも的を絞りにくい。

 ダイレクトで折り返すかと思えばステップを変えて右足でトラップし、クロスを上げるかと思えば振り足を急ストップ。トップ下ながらその枠に収まらず、一定のペースでふらふらとスペースに顔を出すから、“勝負どころ”が読めず、相手も身体をぶつけにくい。転がるボールに水しぶきが上がるほどの悪天候は、ボールを保持する中村ではなく、むしろ対峙する広島守備陣のほうに不利に働いているのではないかとさえ思えた。

“中村を好調にさせている要因”こそがマリノス快進撃の原動力。

 もっとも、そうした中村のコンディションの良さは、昨シーズン途中から半年以上も続いている。横浜FMの好調の要因がエースの完全復調にあるのは明らかだが、もっと言えば、“中村を好調にさせている要因”こそがチームの快進撃を演出する原動力となっていることは間違いない。

 その源流にMF中町公祐の存在があると確信したのが、前半14分のプレーだった。

 広島のロングフィード、そのこぼれ球をボランチでコンビを組む富澤清太郎が拾ったが、コントロールを誤ってボールがこぼれた。そこにいち早く反応したのが中町だった。

 ボールに走り寄り、右足のアウトサイドで視界の後方にいる中村にダイレクトパス。それを中村がダイレクトで左SBのドゥトラに下げる間、中町は首を振りながらパスコースにポジショニングを取る。再びボールをキープした中村が相手に囲まれると、今度は一気に距離を縮めてサポートに回った。

 直後には中村のトラップが乱れてボールを失うが、奪ったボールを素早く縦にフィードしようとする広島・ミキッチの前に中町が飛び込み、パスコースを失ったミキッチはやむなく切り返してバックパスを選択した。この間に横浜FMは守備態勢を整え、結局、プレスを受けて“蹴らされた”広島の攻撃はタッチラインを割る。

 中町は90分間を通じて首を左右に振り続け、ポジショニングの修正を繰り返しながら中村との適度な距離を保った。攻撃時には中村の選択肢となり、守備時にはサポート役となり、中村が下がれば上がる、上がれば下がるという動きの変化は、明らかに横浜FMの中盤の流れを円滑化していた。

【次ページ】 中町の特長はフィニッシュまで絡む“縦への意識”。

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