NumberEYESBACK NUMBER

引退表明か現役続行か。
40代選手、初秋の現在地。
~プロ野球・ベテランの存在価値~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2012/09/25 06:00

引退表明か現役続行か。40代選手、初秋の現在地。~プロ野球・ベテランの存在価値~<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

小久保は8月14日の引退表明以降も勝負強い打撃でチームを牽引する。

 今季開幕時、40歳代のプロ野球選手は17人いた。それが8月末の時点で、一軍登録されていたのは9人。ソフトバンクの小久保裕紀、広島の石井琢朗、阪神の金本知憲が今季限りの引退を表明。ソフトバンクのカブレラをはじめ数名が戦力外となっている。秋の声とともに、高齢の40代選手たちの首筋も涼しくなってくる。

 この時期の引退表明については、最後まで優勝争いに絡むとテレビ各局では解説者などの来季の構成が決まってしまうため、ユニホームを脱ぐならば早い時期に表明したいという思惑があることも事実だが、小久保とすれば“若手を鼓舞したい”という思いもあったはずだ。事実、引退表明後にソフトバンクは若手が奮起、優勝争いの一角に加わってきた。

「優勝争いの中でこそ、ベテランの存在が必要」と言われるように、日ハムの稲葉篤紀、ヤクルトの宮本慎也、中日の和田一浩、谷繁元信、山崎武司などはいぶし銀の働きを見せている。彼らはチーム内での存在感を考えても、引退からはまだ程遠い。

「僕らよそから来た者は一線で働けなくなったら、即、引退に繋がるのです」と谷繁は心境を語る。15年ぶりのAクラス、CS出場のかかる広島では、前田智徳が代打の切り札として「今が一番やりがいがある」と話している。

二軍暮らしでも若手の範となる、下柳・木田・山本昌の存在感。

 一方、優勝争いから脱落したチームは、来季に向けて新戦力への移行を図る。同等の力ならば若手を使いたい首脳陣の意向のため、二軍暮らしを余儀なくされる例もある。そこで野球への真摯な姿勢を示し、若手の範となっているのは楽天の下柳剛、日ハムの木田優夫、中日の山本昌だ。

 下柳は'03、'05年の阪神優勝の立役者で、今年テスト入団で楽天に来た。獲得した理由について、星野仙一監督は「若手の手本になるから」と語った。美馬学、辛島航は下柳の後ろ姿を見て成長した。木田は日米の野球を経験し、“困った時の木田頼み”と言われたが、中村勝、谷元圭介が成長する中、その役割を終えようとしている。本人は「拾ってくれる球団がなくなるまで現役のつもり」と体調維持に余念がない。47歳と現役最年長の山本は開幕から好投を続けたが勝ち星に恵まれず、今は二軍選手とともに汗を流している。本人は「土壇場の勝負どころでは絶対に老人力が必要」と練習の手を抜かない。

【次ページ】 阪神・桧山、西武・西口らには厳しい年俸提示が!?

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
小久保裕紀
福岡ソフトバンクホークス
石井琢朗
広島東洋カープ
金本知憲
阪神タイガース

ページトップ