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日本代表を支える控え組の“献身”。
ザックも認める中村憲剛のひたむきさ。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2012/06/30 08:02

日本代表を支える控え組の“献身”。ザックも認める中村憲剛のひたむきさ。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

オシム、岡田武史、ザッケローニと歴代代表監督からコンスタントに招集されている中村憲剛。Aマッチ59試合出場で6ゴールをあげている。

「クラブも代表も自分を高められる場所ですから」

 オマーン戦の4日前だった。非公開練習後のミックスゾーン。試合に向けて表情を硬くする選手が次々と出てくるなかで、中村はいつもと同じ自然体を崩さなかった。彼の表情は明るかった。

「練習をやっていて凄く楽しいですよ。クラブもここ(代表)も自分の技術、クオリティーを高められる場所ですから。いま、(川崎フロンターレの)風間監督のもとで学んでいることを代表でも活かせるんじゃないかとも思っているし、いろいろチャレンジできる。毎日楽しいですよ、本当に」

 自分自身としてのテーマを掲げながら練習に取り組む姿勢。代表合流前、ベガルタ仙台戦(5月26日)では、針の穴を通すような中村のスルーパスでゴールシーンを生み出した場面があった。パス交換しながら相手の裏を取る、マークを外す、というフロンターレでやっている作業を、代表でも活かそうとしていた。

 サブに回ったといっても、決してそこに甘んじているわけではない。同じトップ下で先発起用されている本田を脅かすべく、彼とはまた違った持ち味を高めようとしていた。団結心、そして競争心。この2つが、サブという立場であろうとも中村は存分に発揮できるタイプであると言える。

「監督はよく見てくれている」と指揮官の信頼に応える。

 そんな中村にお呼びが掛かったのが2戦目のヨルダン戦だった。後半途中、5-0になってアルベルト・ザッケローニには本田を休ませる意味もあったのだろうが、中村のモチベーションは高かった。スローペースになろうとするチームのテンションを上げるように、狭いエリアにいる味方の足元に速くて正確なパスを送っていった。心身のコンディションの良さが伝わってきた。

 もちろん、サブに回る選手のモチベーションが高く維持できるのはザッケローニのマネジメントに拠るところも少なくない。以前、中村も「監督はよく見てくれている。サブの選手もそう思っているはず」と語ったことがある。今回も練習ではメンバーを固定せず、入れ替えながら戦術を叩きこませ、全員に試合の準備をさせていたという。

【次ページ】 中村のチームに対する「献身」をザックも高く評価する。

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