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<欧州最高のアタッカーを斬る> 風間八宏のロナウド、イブラヒモビッチ、ルーニー観賞術。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byKeiji Ishikawa

posted2012/06/14 06:01

個性溢れるアタッカー達の存在抜きにEUROは語れない――。
いま、最注目のJリーグ監督が彼らのプレーをより楽しむための
方法を伝授する。

 超一流のアタッカーというのは、誰でもすぐに見分けられるものだろう。どんなときでも得点という結果を残すからだ。けれど、なぜゴールを決められるかとなると、理由を正確に答えるのは簡単ではない。

 日本において、そういう攻撃における本質を理解し、サッカーの言語化に成功しつつある監督がいる。川崎フロンターレを率いる風間八宏監督だ。今年4月に川崎の監督に就任すると、瞬く間に選手たちの目と意識を劇的に変え、低迷していたチームを蘇らせた。相手の重心移動の逆を突くようなパスまわしは、これまでのJリーグには見られなかったスタイルだ。

 そんな“先駆者”の目に、EURO2012に出場するトップクラスのアタッカーはどう映っているのだろうか? きっと他の人が気がついてない特徴を見抜いているはずだ。

 まず今大会の注目選手と言えば、やはり今季のスペインリーグで46得点をあげたポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドだろう。惜しくもメッシの50得点には及ばなかったが、間違いなく今大会で最も得点力がある高速アタッカーだ。

「あのトップスピードの中で技術がぶれない選手はそんなにいない」

 風間はロナウドの武器として、“上半身の強さ”をあげた。

「背筋がピンと伸びていることからわかるように、とにかく体幹が強い。だから左右に動いてもバランスが崩れないし、正確にボールを扱える。あのトップスピードの中で技術がぶれない選手は、そんなにいないですよ」

 陸上的な速さだったら、ロナウドより俊足のアスリートはいくらでもいるかもしれない。だが、走りながらボールを扱い、さらに前後左右に方向転換できるかとなると話は別だ。

 風間は「ドリブルのシーンを思い出してほしい」と続けた。

「ロナウドが体を前に傾けてドリブルをしているのは、ほとんど見たことがないですよね。前傾になると足の前面の筋肉に無駄に力が入るので、スムーズに踏み出せない。ブレーキをかけているようなもの。一方、背筋が伸びていると、前面の筋肉に不必要に力が入らないので、足がなめらかに出る。ロナウドは自分の体を自由に扱えるという点で、突出した選手です」

<次ページへ続く>

【次ページ】 背筋が伸びていることのもう一つのメリット。

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