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全仏はこの新星に注目!
待望の“攻撃型”現る。
~「サンプラスの後継者」ラオニッチ~ 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2012/05/26 08:01

全仏はこの新星に注目!待望の“攻撃型”現る。~「サンプラスの後継者」ラオニッチ~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

サンプラスが4大大会で唯一勝利できなかった“赤土”で後継者ラオニッチはどう戦うのか。

 5月27日に開幕する全仏で要注目の選手がいる。196センチ、90キロの巨漢、21歳のミロシュ・ラオニッチだ。世界ランキング22位。昨年、米国・サンノゼでツアー初優勝を飾り、2011年の新人賞にも選ばれた逸材だ。

 全仏の前哨戦バルセロナで世界ランク4位のアンディ・マリーを破り、マドリードでは当時3位のロジャー・フェデラーとファイナル・タイブレークの大接戦を演じた。フェデラーは「タフな試合だったよ。彼がトップ10に入ってくるのは間違いない。才能がある選手だからね」と若者を称え、ラオニッチも「敗れたけれど満足しています。勝てると信じてコートに入り、(戦ってみて)最も偉大な選手を破る可能性があるとわかったのですから」と胸を張った。

 プレーの特徴は、記録を見れば一目瞭然だ。サービスゲームのキープ率は93%で、フェデラーを抑えてツアー1位。ファーストサーブでの得点率も82%でトップ。さらに、サービスエースの本数も418とダントツの1位なのだ(記録はいずれも今季)。

球足が遅く、攻撃型選手には不利と言われる全仏のクレーコート。

 1試合平均約15本のエースをたたき込み、パワーでゴリゴリ押していく。相手のボールが短くなれば、強く叩いてネットにつめ、重圧をかける。歴代のチャンピオンで言えばピート・サンプラスの後継者と言える。そう言えば、サンプラスのニックネームは「ピストル・ピート」だったが、ラオニッチを「ミサイル」のあだ名で呼ぶ人もいる。

 待望の攻撃型プレーヤーと言っていいだろう。'90年代、サンプラスの全盛時は攻撃型のテニスが優勢だったが、今は守備力の高い選手が多数派を占める。守備型優位の時代に、攻めることを恐れない若者がどう切り込んでいくか、これは見ものだ。異なるスタイルが台頭してくるのはテニス界も大歓迎だろう。

 全仏のコートはクレー(赤土)で球足が遅く、攻撃型には不利と言われる。ラオニッチも昨年は1回戦で敗退している。バルセロナでは「クレーコートではまだ勉強を重ねている段階です。もっと経験を積む必要があると思っています」と謙虚に語っていたが、今の勢いなら苦手なコートもあっさり克服してしまうかもしれない。若者は、大きな野心を胸に秘めて全仏に乗り込むはずだ。

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