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新年早々の移籍情報から検証する、
ザックジャパンの「向上心王」は誰? 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2012/01/13 10:30

新年早々の移籍情報から検証する、ザックジャパンの「向上心王」は誰?<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

日本代表の新ユニフォームの発表会に、選手代表のひとりとして登場したハーフナー・マイク。ヴォルフスブルクなど複数のオファーの中でオランダのフィテッセを選んだ理由として「最初の一歩だし、いきなりトップリーグではなくて徐々に成長していきたかったから」としている

代表でもズバ抜けた向上心を持つ本田と長友。

 選手に対して向上心をたきつけているのは何もザッケローニのせいばかりではない。チームそのものに、向上心を促す土壌があった。アジアカップでA代表に初招集された李忠成はこんなことを言っていた。

「俺自身、結構(向上心を)持っていると思ったけど、(本田)圭佑、(長友)佑都はもっと持っているなとアジアカップのときに感じたんです。もう俺の比じゃないってぐらいに(笑)。こいつら、こんだけの気持ち持っていたら、そりゃ上に行くよなって思いましたね。監督も『向上心を持ってやれ』といつも口癖のように言ってくれますし、僕としても『成長したい』という思いはもっともっと上になってきている」

 李にとって同世代の本田と長友の存在は大きな刺激材料になっていたというわけだ。だが2人の向上心に触発された選手は李だけにとどまらない。

「お前よくそんな静かな性格でここまでやってこれたな」

 シュツットガルトでプレーする岡崎慎司からもこんな話を聞いたことがある。南アフリカW杯決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦にPKで敗れたその日の夜、本田と2人で語り合ったという。

「アイツは僕と違って戦いを好む性格だし、何事に対しても熱くなる。そんな圭佑から『お前よくそんな静かな性格でここまでやってこれたな』とそこで言われたんです。でもまあ僕は海外でやっている圭佑たちを見てきて、やっぱり自分もいつか海外でチャレンジしたい、という思いを持つようになっていた」

 言うまでもなく本田はオランダのVVVフェンロでオランダ2部MVP(2008~2009)に輝こうが、移籍したCSKAモスクワでは欧州CLで直接FKを決めようが、現状に甘んじることなく、上を目指そうとする発言を繰り返してきた。

 もう一人の“向上心2トップ”長友も「世界一のサイドバックになる」という大望を掲げ、インテルまで辿り着いてレギュラーを確保している。

 かつてガンバ大阪ユースに昇格できなかった本田と、かつて明大に進学しながらもスタンドで太鼓を叩いて応援していた長友。逆境を乗り越えてきた2人の“成り上がり”がチームメイトを十分に刺激し、また、指揮官が評価の対象にしたことによって「向上心」は今やザックジャパンの合言葉として定着するようになっている。

【次ページ】 2010年は本田、2011年は長友、2012年は誰だ?

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