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歴代最高ランクに登った
錦織圭の「大人のテニス」。
~松岡修造の記録を大幅更新~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byRon Angle/Mannys Photography

posted2011/10/27 06:00

上海での4強進出で念願達成。今の順位を維持すれば、4大大会でシード権を獲得できる

上海での4強進出で念願達成。今の順位を維持すれば、4大大会でシード権を獲得できる

 10月17日付けの世界ランキングで錦織圭が日本男子歴代最高の30位に浮上した。前週、中国・上海で行なわれたマスターズ1000大会で、当時8位のジョーウィルフリード・ツォンガらを倒して4強入り。アンディ・マリーに敗れ、決勝進出は逃したが、自身と松岡修造が記録した46位の最高ランクを大幅に更新した。小学生の頃から目をかけてもらい、尊敬している松岡を抜き去っての歴代トップを「誇りに思う」と錦織。30位以内に入るという自身の今季の目標も、一気にクリアしてしまった(その後、24日付けのランキングで31位に後退)。

 準決勝進出を決めたところで、錦織は「トップの選手に続けて勝ち、自分のポテンシャルが確認できてうれしかった」と話した。ツォンガを破り、世界ランク18位の奇才アレクサンドル・ドルゴポロフを下しての4強入りには、よほど確かな手応えがあったのだろう。

守りから攻めに切り替わったときの迫力はトップ選手にも匹敵。

 '08年デルレイビーチ(米国)でのツアー初制覇は、自分自身、予想もしていない結果だった。だから、優勝でランキングが急上昇しても、次の日から今の地位をどう守るかと考えなくてはならなかった。しかし今の錦織は、しっかりした足場の上に立っている。「30位」と目標を設定し、その高度まで確実に登り詰めたことで、彼は大きな自信を得ただろう。「ポテンシャルが確認できた」という言葉の裏には、実力がつき、それにふさわしい結果も得られたという自負があるに違いない。

 シーズン開幕直後から追い求めてきた「堅実なテニス」も、形が見えてきた。ドルゴポロフとの準々決勝で犯したエラーはわずか18本。リスクを冒さず、攻めるべき時に攻め、確実に仕留める効率のよいテニスだった。錦織はこの試合で、ショットの威力や意外性に頼らない「大人のテニス」に脱皮しつつあることを示した。堅実さだけではない。守りから攻めに切り替わったときの迫力は、トップ選手にも匹敵するものだった。一つ年上の当面のライバルにストレート勝ちしたこの試合は、今季の錦織の一つの結実だったと思う。

 次の目標は世界ランク20位か。あるいは、ノバク・ジョコビッチら男子テニス界に君臨するトップ4からの勝ち星なのか。いずれにしても、頂上にアタックする準備は整いつつある。

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