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いよいよ開幕! 今季のF1を占う 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2006/02/23 00:00

いよいよ開幕! 今季のF1を占う<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 「エンジンに関してはウチは自信あります。でもコーナリングはまだルノー、マクラーレンさんに追いつけてない。もうちょっとですね」

 2月20日、都内のホテルで報道陣やサーキット関係者約800人が参集した「ホンダ2006キックオフ・パーティ」会場で、ラッキーストライク・ホンダF1ユニフォームを着たホンダの中本修平エンジニアリングディレクターはそう語った。

 いよいよあとおよそ2週間でF1開幕だが、今週2月第4週はスペインのバルセロナで多くのチームが集っての最後の合同テスト。これを打ち上げた時のタイムが気になるところだが、ここまでの流れをみるとやはりホンダの中本エンジニアが指摘するように昨年の覇者ルノーがチャレンジャー達を確実にリードしているようだ。

 ルノーは一発のタイムが速く、しかもレースモードで多くのラップを重ねた時のタイムも高値安定。全方位的速さを見せつけている。しかも新王者アロンソばかりでなく、G・フィジケラ、テストドライバーのH・コバライネンもアロンソと遜色ないタイムで走行。これはニューモデルが癖のないマシンに仕上がっている証拠で、新車が昨年の正常進化モデルとして成功したことを如実に物語っている。少なくとも開幕戦の本命はルノーとしていいだろう。

 昨年このルノーを追いまわしたマクラーレンはどうか?同チームは新規則V8エンジンの二次振動対策に後手を踏みよく壊れていたが、新しいユニットが来てからは順調。バルセロナ合同テストでどこまで信頼性を確保できるかがキーポイントだ。中本エンジニアが言うようにコーナリングのキレは今年も健在。ポテンシャルはきわめて高い。

 ルノーがトップとしても、これに続くほどの好調さを見せるのがホンダで、バルセロナ・テスト前に開幕地バーレーンでもテストして来たほどぬかりなさ。車体を担当するホンダの関野陽介テクニカル・ディレクターは「付け物(空力パーツ)に頼るのではなく車体の基本フォルムで性能を出すようにした」と言い、空気抵抗が少なくかつダウンフォース(マシンを地面に押さえつける力)が大きいことを強調。昨年の欠点を克服したことに強い自信を持っている。

 トヨタは少なくともバルセロナ・テスト前にはきわだった成果を見せていない。しかし開幕戦用に完全にアップデートした空力パーツを投入する予定で、これも最後のバルセロナ・テストがキー。また、今年新たに履くブリヂストン・タイヤとの最後の摺り合わせも残っている。しかしエンジンの信頼性は抜群で、緒戦からコンスタントな走りが期待できるだろう。

 ルノーが一歩リードしていることは確実だが、昨年に較べ全体の差はグッと縮まっていると中本エンジニアは言い、ホンダのチーム代表ニック・フライも「ルノーは速いが、フェラーリが昨年のままであるはずがないし、ウイリアムズに搭載されたコスワース・エンジンもいい。今年は数人のウイナーが出る」と混戦を強調。

 そして開幕戦バーレーンも重要だが、第2戦マレーシアはその1週間後の連戦。ここ3年、開幕戦を制したチームがその勢いで次戦も連覇している。そういう意味でも注目される開幕戦バーレーン(3月12日)である。筆者の予想は本命F・アロンソ、対抗M・シューマッハー、穴R・バリチェロとしておこう。

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