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全日本選手権で台頭した、
錦織世代の若手たち。 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2008/12/04 00:00

全日本選手権で台頭した、錦織世代の若手たち。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 今年の全日本選手権で目立ったのは「錦織世代」の頑張りだった。20歳の伊藤竜馬(たつま)が準優勝。錦織圭の1学年下、湘南工科大附高3年の守屋宏紀は、高校生としては'92年のトーマス嶋田以来16年ぶりのベスト4進出を果たした。さらに、錦織と同学年、19歳の三橋淳と片山翔もそろって8強入りした。

 錦織は海外ツアーを優先させたためエントリーしなかったが、彼のツアーでの活躍に刺激された選手たちが、負けてなるものかと燃えたのだ。

 錦織よりひとつ年上の伊藤は、この春、デビスカップ・インド戦で代表候補に選ばれた。仲のよい錦織はチームのエースとして活躍し、デビスカップでの国内最年少勝利を挙げたが、“候補”の伊藤は選手の練習相手を務めただけだった。錦織が3回戦に進出して脚光を浴びたAIGオープンでは、1回戦敗退。米国の中堅選手に完敗した伊藤は、会見場で涙を流した。そうしたひとつひとつの経験が、彼を大きくしたはずだ。

 今年の高校総体で団体戦と個人戦単複の3冠に輝いた守屋は、有名大学からの誘いを断り、プロ入りを決めた。世界で活躍する錦織の存在が、岐路に立った18歳の背中を押したことは間違いない。

 最も刺激を受けたのは、錦織より5歳年上の添田豪だったのかもしれない。全日本選手権で初優勝。決勝では伊藤を逆転で下した。'05年に準優勝した添田は、その後、常に優勝候補に挙げられたが、栄冠には手が届かなかった。勝負どころで消極的になり、競り負けることも多かったため、精神的なひ弱さも指摘された。しかし、この全日本ではひと皮むけた姿を見せ、天皇杯をつかんだのだ。

 錦織の活躍で日本男子に吹き始めた追い風に「乗っかっていきたい」という添田。世界ランク128位は63位の錦織に次ぐ日本男子の2番手だが、錦織とともに引っ張りたいなどと言わないのが、シャイな彼らしいところ。だが、年下の錦織になんとか食らいついて世界で活躍したい、というのがこの言葉の真意だろう。

 確かに、錦織は日本男子全体に“いける”というムードをもたらした。もちろん選手たちは世界への道のりの険しさを知っている。それでも、チャレンジする価値がある、やればできる、と錦織が教えてくれたのだ。

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