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世界への切符を掴んだ
不敵な17歳・奈良くるみ。
~日本テニス界に新女王誕生~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2009/12/08 06:00

世界への切符を掴んだ不敵な17歳・奈良くるみ。~日本テニス界に新女王誕生~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

全日本選手権では1セットも落とさず優勝。来年の全豪から本格的に海外ツアー参戦予定

 長年、日本の女子テニスを支えた杉山愛と森上亜希子が引退した'09年の全日本選手権で、17歳の新女王が誕生した。大阪産業大学附属高3年の奈良くるみだ。第3シードで臨んだこの大会。奈良は準々決勝で'01年優勝の藤原里華を、準決勝では'06年の覇者・高雄恵利加を下し、決勝では'05年に準優勝した米村知子を破って初めての栄冠を手にした。

 奈良は決勝のあとの会見で「大会前から、優勝する自分を妄想していました。どういうガッツポーズで終わろうか、って。でも、うまくいかなくて、やり直したいくらい」と笑った。無邪気な笑顔に報道陣もつられて笑ったが、なかなか不敵な17歳だ。冗談めかして話したが、彼女は国内最高峰のタイトルを、狙って取ったのだ。初戦の2回戦から「去年までは一戦一戦に集中しようとしたが、今年は優勝目指して頑張りたい」と公言し、夢を現実にしたのである。

世界ランキングは日本人4番手に。四大大会も視野へ。

 全日本選手権を「世界に出ていく切符をもらう大会」と位置づける若手が過去に何人もいた。全日本の結果は世界ランクには反映されないが、全日本チャンピオンの自信と誇りを胸に世界で戦いたいと考える選手が多いのだ。'01年に初めて全日本で優勝し、現役を退いた今は奈良のコーチを務める寺地貴弘もそうだった。奈良にとっても今年の全日本は、まさに切符を取りにいく大会だった。

 奈良は高校生だが、この4月、プロに転向し、競技活動に専念している。10月には地元大阪で行なわれたHPオープンでツアーレベルでの初勝利を挙げた。11月9日付の世界ランキングは、日本人4番手の174位。この1年で約500人を追い抜き、四大大会の予選に出場できる位置まで浮上してきた。

来季は世界進出への準備期間と意気込む。

 しかし、本人は「今のランキングは実力に見合っていない」という。ランキングポイントのほとんどは、国内で開催されたツアー下部大会で稼いだもの。ハングリーな強敵がそろう海外のツアー下部大会や、上位選手が集結するWTAツアーでの経験はまだ乏しい。だから「来季はランキングはもちろん上げたいが、それよりも世界で戦えるように準備し、実力を上げていきたい」と意気込むのだ。

 全日本で切符を手にした奈良は、これから長い旅に出ようとしている。杉山や森上が、そうしてきたように。

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