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39歳が頂点に立つ
女子テニスの“異常事態”。
~伊達公子を踏み台にせよ!~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2010/01/01 08:00

39歳が頂点に立つ女子テニスの“異常事態”。~伊達公子を踏み台にせよ!~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 シーズンも最終盤になって、女子世界ランキングの国内トップが入れ替わった。ITFサーキット(ツアー下部大会)のダンロップ・ワールドチャレンジで優勝したクルム伊達公子が前週の82位から71位に浮上、森田あゆみに代わって日本勢の最上位となったのだ。

「100位以内という目標をクリアできて、しかもツアー大会で優勝できるとは思ってもみなかった。出来すぎです」と1年を振り返った伊達だが、国内トップ浮上に関しては「12年のブランクのあった私がトップになるのは、日本の女子テニスにとって、いい状況ではない。若い選手に育ってほしいという気持ちは当然ある」と渋い表情を見せた。

鍛え抜いた伊達の身体を見れば、壁を破るための答えが分かる。

 杉山愛と森上亜希子の引退という事情はあるにせよ、39歳が最上位というのは異常事態と言える。'08年春に「若い選手の刺激になれば」と言って復帰した伊達。この1年半、後輩への歯がゆさは増すばかりだったのではないか。

 12月7日付の世界ランクでは、伊達に次ぐ2番手は84位の森田あゆみ(19歳)、以下、149位の瀬間友里加(23歳)、181位の奈良くるみ(17歳)と続く。全日本選手権で初優勝した奈良の急成長はあったが、中堅、若手の伸び悩みが目立つ。世界ランク200位前後の定位置を抜け出せない選手が多いのだ。

 なぜ、壁を破れないのか。伊達は「どうやって戦っていくかということは示しているつもり」と話している。

 伊達は'09年を「パワーテニスについていくことだけ考え、必死にもがいたシーズン」と総括した。なんとか適応しようと欧米のサーキットを回り、パワーテニスを体感、対策を練った。シーズン前半は故障やけいれんに悩まされたが、やがて克服。39歳にしてハガネのような身体を作り上げた。そうした取り組みそのものが答え、というわけだ。

ぬるま湯の国内に安住する若手よ、世界に飛び出し奮起せよ!

 国内に居座って海外のトーナメントに挑戦しない、すなわち世界のテニスを体感しようとしない。今の位置を抜け出すために“必死にもがく”ということをしない――そんな若手に、伊達は自らの行動で「喝!」を入れているとも言える。

「若い選手が私を抜いていってくれれば、そのほうがいい」

 中堅、若手は39歳の叱咤にどう応えるか。奮起を期待しよう。

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