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フェデラー、ナダルを
脅かす21歳の新鋭。
~メジャーを制したデルポトロ~ 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2010/01/25 06:00

フェデラー、ナダルを脅かす21歳の新鋭。~メジャーを制したデルポトロ~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

全米優勝が評価され、デルポトロは2009年のアルゼンチン年間スポーツ個人賞を受賞

 短いオフシーズンが終わり、2010年の新たな戦いが始まった。男子テニスの将来を占う意味でも、今季はアルゼンチンの21歳、フアンマルティン・デルポトロから目が離せない。昨年の全米決勝でロジャー・フェデラー(スイス)を破り、四大大会を初めて制した若武者だ。最新の世界ランキングは4位(1月13日時点)、次代の王者の最有力候補である。

 9月に全米を制した後はややトーンダウンしたが、11月に行なわれたツアー最終戦、ATPワールドツアーファイナルズで準優勝。この大会でも再びフェデラーを破っているのだから、実力は本物だ。

王者として君臨するために守備型から攻撃型へと脱皮。

 急上昇の気配が見られたのは昨年6月の全仏だった。フェデラーと顔が合った準決勝。対戦成績0勝5敗とまったく歯が立たなかったテニス界の王者を、デルポトロは果敢に攻め立てた。このときは善戦止まりだったが、3カ月後の全米で念願の初勝利。若者は、さらに進化していた。以前のデルポトロは粘りが身上のプレーヤーだったが、全米を制したのは、198センチの長身を生かし、高い打点から豪快にグラウンドストロークをたたき込む攻撃型の選手だった。年頭の全豪の頃とはまるで別人だった。

 世界の頂点に立ちたいというモチベーションが、脱皮を促したに違いない。守備力で番狂わせは起こせても、王者として君臨するには圧倒的な攻撃力が不可欠だ。守備力でトップ10にのし上がったデルポトロだが、先頭を走るフェデラーやラファエル・ナダル(スペイン)の背中が見えてきたところで、攻撃型の選手に生まれ変わったのだ。

リスクの高い攻めのテニスを選んだデルポトロの勇気。

 アグレッシブにプレーするというのは、決して簡単なことではない。「テニスで一番怖いのは攻めること」と言うのは松岡修造氏。攻めのテニスにはミスがつきもので、リスクを負って攻めるより、守って相手のミスを待つ方が断然、楽なのだという。しかしデルポトロには、攻撃的なプレースタイルを選び取る勇気があった、というべきだろう。

 フェデラーは昨年の全米で、デルポトロを「1カ月ごとにうまくなっている」と褒めた。このままのペースで成長していけば、彼は早晩、フェデラーとナダルの2強の間に割って入るだろう。それが今シーズンのことであっても少しも驚かない。

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