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デビスカップに懸ける、
ベテラン鈴木貴男の思い。 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/03/26 01:16

デビスカップに懸ける、ベテラン鈴木貴男の思い。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 32歳のベテランが存在感を見せつけた。大阪府門真市のなみはやドームで行われたデビスカップ、日本―中国戦(アジア/オセアニアゾーン1部、2回戦)。第2日のダブルスに出場した鈴木貴男は、パートナーの岩渕聡とともに中国ペアを圧倒、チーム3勝目を挙げ、日本の3回戦進出を決めた。さらに鈴木は、右腕に故障を抱える錦織圭に代わって第3日のシングルスにも出場し、2-0のストレート勝ちを収めた。

 鈴木個人としてはデ杯シングルスでの26個目の勝ち星で、福井烈の持つ日本人最多勝記録「27」にあと一つと迫った。ダブルスでの勝ち数「13」、単複合計の勝ち数「39」、単複合計出場試合数「59」は、いずれも日本歴代最多。シングルスの勝ち数でトップに立てば、デ杯の個人記録を独占することになる。

 鈴木自身は、今回で日本人単独トップとなった代表選出年数「13」に最もこだわりがあるという。

「ケガで出場できない年が2年あったが、そのときも、なんとかチームに入れるように願っていた」という鈴木。「国を代表して戦う誇りとともに、多くの人に支えられてプレーするデ杯が、ただただ好き」というのだ。

 現在の世界ランク491位では四大大会の予選枠入りは難しい。個人戦に専念し、少しでもランキングを上げて四大大会を目指す選択肢もあるはずだが、鈴木はあくまでもデ杯優先だ。「ツアーでダメでも、デ杯戦の場にいたいという気持ちが強い」というのだ。国別対抗戦をツアーの添え物のように見る選手もいる中で、鈴木の考え方はきわめて異質だ。

 醒めた見方をすれば、ランキング下降気味のベテランが、自分が輝ける場所であるデ杯に必死にしがみついている、というのが今の鈴木だ。デ杯での鈴木のプレーは間違いなく世界レベルだが、そのクオリティを1年間保つことは、肉体的、メンタル的に難しくなったようにも見える。だからこそ彼は、大好きなデ杯で最高のプレーを披露し、念願のワールドグループ復帰を果たすことに、テニス人生最後の数年間を捧げようとしているのかもしれない。

 確かに彼は、必死にデ杯にしがみついている。しかし、その後ろ姿は、少しも格好悪くなんかない。

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