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フェデラーなんか、来なくてもいい! 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2006/02/23 00:00

フェデラーなんか、来なくてもいい!<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 世界1位、盤石の王者ロジャー・フェデラー(スイス)が、初の来日を果たす。日本テニス協会は、今年10月に開催されるAIGジャパンオープンに、フェデラーが出場を同意したと発表した。半年以上も先の話だが、協会がいそいそと発表したがったのも分からないではない。昨年、同大会は、男子の欠場者が続出。出場した顔ぶれは、完全に二流大会だった。フェデラーは当初から出場予定はなかったが、前週のタイの大会には出場していた。アジアに来ながら、日本には出場予定さえなく、欧州に戻ってしまった。欠場者続出に、テニスマスコミは、協会や大会の姿勢を指弾した。確かに私も「格が下のタイにフェデラーが出場して、なぜ東京に出ないのか」と質問した。しかし、それはフェデラーが大会に出ればOKという意味ではなかった。

 あえて言えば、フェデラーなど、日本に来る必要はない。身の丈という言葉がある。今の日本に、フェデラーは似合わない。国内における男子テニスの現状は、フェデラーを迎え入れるに器が小さすぎる。コアなファンを除けば、どれだけの人が、フェデラーを見たいと思っているだろうか? 金を払って、フェデラーを呼ぼうと思うスポンサーがあるだろうか? '70〜'80年代にかけて、国内はバブルで、ボルグやマッケンローがエキジビション大会で来日した。しかし、その時と今では情勢が大きく違う。当時は、情報もなく、誰もがトップ選手を見ることに飢えていた。現在、フェデラーに、それほどの要求があるとは思えない。

 私が、フェデラーの名を出して詰問したのは、大会や協会に、確固たる姿勢を見せて欲しかったからだ。フェデラーなどいなくても、いい大会はできる。シャラポワ人気であまりスポットが当たっていないが、ジャパンオープンの運営、観客サービスは、年々、向上している。シャラポワがいなかった昨年の大会、観客動員数は、シャラポワが出場した一昨年とほとんど変わらなかった。選手に頼る大会運営は、いつかほころびを見る。フェデラーなど来なくても、大会はこんなに素敵だと、大会側には胸を張ってもらいたい。そして、それを実証してもらいたいのだ。もちろん、どうしても出場したいという選手を拒む理由はないだろうが。

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