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華麗なるテニスよ再び。ヒンギスが帰ってきた。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2006/01/26 00:00

華麗なるテニスよ再び。ヒンギスが帰ってきた。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 元女王のマルチナ・ヒンギスが、1月2日からオーストラリアのゴールドコーストで開かれたオーストラリア女子ハードコート選手権でツアーに復帰した。世界ランキングを持たないため、大会推薦での出場となったが、ベスト4に進出し健在ぶりを披露した。昨年の2月に、チャリティー目的で1度だけ大会に出場したが、今回は本格的な復帰で、実質的な試合は、'02年10月のポルシェグランプリ以来3年半ぶりとなった。今年からのツアー復帰をアナウンスしたのは、昨年の11月。これまで何度も復帰のうわさがあったが、ついにそれが現実となったわけだ。ヒンギスは満面に笑みを浮かべ「試合がとても懐かしい。高いレベルでのテニスがしたくなった」と話した。

 '97年3月に、16歳6カ月の史上最年少の若さで世界1位になり、4大大会単複14度の優勝を誇る。世界で4人しかいない単複同時に世界1位にランクされた選手でもある。しかし、ウィリアムズ姉妹の台頭で、女子テニスにもパワー全盛時代が幕を開けると、コントロール重視のヒンギスは、それに打ち勝とうとして肉体を酷使した。両足首をけがし、'02年には左足首を手術。それでもヒンギスの動きが戻ることはなく、そのまま戦線を離脱した。

 あのままツアーを転戦していれば、世界1位は難しくても、トップ5を維持することは可能だった。しかし、ヒンギスのプライドは、それを許さなかった。今回の復帰は、彼女のそのプライドの質が変容したことを物語っているのではないだろうか。現実的に見て、本人も世界1位に復帰できるとは思っていないだろう。しかし、それでもいいから彼女は戦いたくなったのだ。復帰2戦目のシドニー大会で、ヒンギスは初戦で昨年の全仏覇者エナン・アーデンと対戦した。結果は3―6、3―6のストレート負け。試合後、アーデンは「ヒンギスのプレーは古い」と断言した。しかし、ヒンギスは「自分の今のテニスはトップ20になるなら十分。その先に行くなら、まだ時間がかかるし、多くの試合を経験しないと」と、逆に復帰への手ごたえをつかんでいる。彼女の全盛時、誰もが、あの球さばきに魅了された。成功するかどうかは別にして、再びあのテニスが見られるのは、多くのファンにとって喜ばしいことだ。

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