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「世界王者」の乱発が
PFPの価値を高める。
~最強ボクサーはファンが決める~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2009/11/11 06:00

「世界王者」の乱発がPFPの価値を高める。~最強ボクサーはファンが決める~<Number Web> photograph by Getty Images

 スーパーチャンピオン、名誉王者、休養王者、暫定王者に正規王者……。今どき「世界王者」を名乗るボクサーは覚え切れないほど存在する。

 WBA、WBC、IBF、WBOといった通称アルファベット団体は、次から次に新手のタイトルを考え出す(認定料稼ぎの手段としか考えられないが)。昔のように稀少価値を売り物にできなくなったチャンピオンたちは、複数王座を獲得するか、よほどのカリスマがないと稼げない。だからというわけでもあるまいが、近年注目されてきたのが「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」という評価法だ。以前は「ミニマム級からヘビー級まで、体重を一定と仮定したとして……」という説明が必要だったが、今はその手間も省けるほどファンの間に浸透してきた。

ファン投票が“最強の男”を決める時代に!

 PFPランキングはボクシングサイトや専門誌の定番だが、個性的なランキングもあるなかで共通しているのは、どこも1位にマニー・パッキアオを据えていることだ。4階級で世界王者となり1試合最低10億円を稼ぐスーパー王者となったフィリピンの英雄。現在は公的な世界王座を保有していないが、メディアはこぞって「パウンド・フォー・パウンド・キング」と書く。

 PFPランキングはもともとファン投票の類でオフィシャルなものではないが、今や各団体をも脅かす“権威”を備えつつある。11月14日、ラスベガスのパッキアオ対ミゲル・コット戦が注目されるのも、WBOタイトル戦だからではなくPFPランキング上位の強豪同士の対決だからである。プロモーターはPFPの称号でチケットが売れれば、高額の世界戦認定料を払わずに済むから大歓迎。逆にそれでは困るのが各王座認定団体だ。

究極のビッグマッチはもはや世界タイトル戦ではない。

 現在、究極のビッグマッチと期待されるのは、パッキアオと9月に復帰したフロイド・メイウェザーの「新旧PFPキング対決」。これを実現するために、パッキアオはまずコットに勝つ必要がある。

 ところで、WBCは本来認定も関与もできないはずのパッキアオ対コット戦の勝者に、861個のダイヤ入り豪華特製チャンピオンベルトを贈呈すると決めた。今後も「エリート選手専用の誇り高いタイトルマッチ」に贈るというのだが、思惑が透けて見える。敵もさる者だが、PFPキングに公的お墨付きなど不要だ。

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