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華麗なるシューター、
リナレスの防衛なるか。
~西岡利晃とW世界タイトル戦へ~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2009/10/09 06:00

華麗なるシューター、リナレスの防衛なるか。~西岡利晃とW世界タイトル戦へ~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

2度目の防衛戦に挑むリナレス。相手のサルガドも21戦20勝1分と無敗同士の対決となる

 今、日本で活躍するボクサーのなかで、一般的な知名度の高さでは内藤大助、亀田興毅がトップだろうが、コアなファンの間で強く支持されているのは長谷川穂積であり、西岡利晃、ホルヘ・リナレスである。3人の共通点は、ボクシングそのものを売り物にした本格派であること。なかでも10月10日のダブル世界タイトル戦に出場する帝拳ジムの2王者、西岡、リナレスはともに直近の防衛戦をアウェーのメキシコで行ない、難敵相手に鮮やかなKO勝ちを飾ったばかり。その凱旋試合に注目が集まっている。

デラホーヤが「最強のひとり」と認めるリナレスは日本育ち。

 西岡はもちろん、2年8カ月ぶり、世界獲得後に初めて日本のリングに上がるリナレスからも目が離せない。「ベネズエラのゴールデンボーイ」の鳴り物入りで、17歳になる直前に来日。以来、7年間で27戦全勝18KO。「パウンド・フォー・パウンドで最強のひとり」とオスカー・デラホーヤが絶賛したが、実際に見ていてこれほど楽しいボクサーはいない。美しいフォームから繰り出されるジャブを基本とした華麗なボクシング。体の動き、パンチともにスピードとキレがあり、相手の動きに鋭く反応する。芸術的なカウンターで仕留める試合が多いのも特徴で、過去4度の世界戦はすべてKO、TKOで決めている。すでにフェザー、スーパーフェザー2階級で世界王座獲得。「4階級制覇」の公約の半分は達成したわけだ。

 頭脳的なシャープシューターぶりにエリート揃いの帝拳ジムの同僚たちも「ホルへは別格」と口を揃える。こんな逸材を預かるジムも、もし世界王座に届かなければ信用を失墜していたろうから、大きな重圧を感じたはずだ。だが、優秀なトレーナーを付け、じっくりと手塩にかけて育て上げた。24歳の現在はデビュー当時の華奢な面は影を潜め、風貌、体型ともすっかりたくましくなった。恵まれた天賦の才を丹念に磨き抜かれてなおピークへの途上にある。

「どこでも、誰とでも戦う」。猪木ばりの啖呵にみる自信。

 9月にデラホーヤのゴールデンボーイ・プロモーションと契約して米国進出を決めたとき、記者会見でリナレスはこう言った。「どこでも、誰とでも戦う」。ボクサーだったら一度は口にしてみたい台詞である。今度の挑戦者ファン・カルロス・サルガドは不敗の新鋭だが、未来のスーパー王者候補リナレスがどのように撃退するか興味深い。

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