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謙虚で照れ屋な元ブンデス得点王。
マイアーはフランクフルトの神様。

posted2018/05/19 16:30

 
謙虚で照れ屋な元ブンデス得点王。マイアーはフランクフルトの神様。<Number Web> photograph by Getty Images

長谷部誠のチームメートのアレクサンデル・マイアー。高原直泰とプレーした時期もある。

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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 皆さんは、「サッカーの神様」をご存知ですか?

 ジーコ? その通り。

 でも、鹿島アントラーズの礎を築いたジーコのことを「サッカーの神様」と称するのは日本だけのようで、ジーコは世界的に「白いペレ」という呼び名で有名です。そのペレの称号は「王様」。世界歴代最高となる公式戦1281得点。ワールドカップでブラジルを3度世界一へ導いた文字通りのキングですよね。

 また、アルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナの称号は「神の子」。1986年メキシコワールドカップ準々決勝のイングランド戦で見せた圧巻の5人抜きとハンドでのゴール「神の手」が有名で、彼もまた母国を世界一へと導きました。

 そのほかにも、元フランス代表のミシェル・プラティニの「将軍」、元西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウアーの「皇帝」など、歴代のスターはさまざまな称号を冠されています。けれども、サポーターから面と向かって「サッカーの神様!」と呼ばれる選手は、あまり見当たりません。

 いや、いました。ドイツのフランクフルトに。今日は、その選手のお話です。

取材目的は降格危機のHSVだったが。

 5月5日のドイツ・ブンデスリーガ第33節。穏やかな好天が続くフランクフルト。僕はアイントラハト・フランクフルトの本拠地コメルツバンク・アレナへ向かっていました。取材の目的はフランクフルトではなく、対戦相手であるハンブルガーSVの残留争いです。

 ブンデスリーガ創設以来の54年間、一度も2部降格を喫していない唯一のクラブであるハンブルガーSVの降格危機は巷の話題でして、DF酒井高徳選手やMF伊藤達哉選手などが在籍していることも相まって、日本でも動向が注目されていました。

 またフランクフルトのリベロ長谷部誠選手は、第31節のヘルタ・ベルリン戦で相手選手に肘打ちを食らわせてリーグ戦4試合の出場停止中。そんなこともあって、僕は対戦相手の情報ばかり仕入れて試合会場へ向かっていたのです。

 コメルツバンク・アレナは、フランクフルト中央駅からドイツ鉄道Sバーンでふたつ目の「Stadion」で下車して、徒歩10分程度の場所にあります。ドイツのサッカーファンはダービーマッチなどのライバルチーム同士の対戦でなければ呉越同舟で、両サポーターが入り混じってスタジアムまでの道程を進んでいます。

 道中には当然屋台が軒を連ねていて、ドイツ名物のソーセージパンやポテトフライ、そしてビールが売られています。

【次ページ】 やけに多いサポーターの「14番」。

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