ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
謙虚で照れ屋な元ブンデス得点王。
マイアーはフランクフルトの神様。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/05/19 16:30
長谷部誠のチームメートのアレクサンデル・マイアー。高原直泰とプレーした時期もある。
足、頭、ポニーテールでも決める男。
スタジアムからの帰路。フランクフルトサポーターが狂喜乱舞しています。そして友人が教えてくれました。
「マイアーには個人のチャントがあるんだよ。ドイツのサポーターは味方チームや相手を揶揄するようなチャントはするけど、選手個人にチャントが送られるのは珍しいんだよね。それくらい、フランクフルトサポーターにとってマイアーは偉大ということだよ」
片手にビールカップを掲げて、高らかにサポーターが歌い上げています。
「足で決めれば、頭でも決める、何してもゴールを決める、ポニーテールでもさ。フッスバルゴット! フッスバルゴット! アレックス・マイアー、フッスバルゴット!」
実はドイツは、各チームにフッスバルゴットがいます。バイエルンは、かつて所属したバスティアン・シュバインシュタイガー。レバークーゼンならば今も同チームに所属するシュテファン・キースリンクなど。でも、ここフランクフルトではアレックス・マイアーこそが唯一神です。
今、現地では、2018年6月30日をもってフランクフルトとの契約が満了する彼の去就の話題で持ち切りですが、サポーターはまったく心配していません。
「あんなゴールを決められたら、クラブも契約を切るわけにはいかないだろ。そもそも、俺たちサポーターが許さねぇから」
愛する選手と共にある――。それもまたサッカーと寄り添う人生で得られる、至福の時なのかもしれません。