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石川祐希が3度目のイタリアで確信。
「日本だけじゃなく世界を基準に」
posted2018/02/09 08:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
ここに立つことができた、という喜びと、敗れた悔しさ。
石川祐希は、笑顔の中に悔しさを滲ませた。
「サーブでもエースを取れたし、レセプションもそれほど悪くなかった。でもハイボールを1本、相手に止められてから狂ってしまったので。たぶん日本でならば決められる状況だったんじゃないかと思うんですけど、高くて、ストレスをかけてくるブロックに対してどう決めるか。もっと精度を上げなきゃいけないと思ったし、あそこで1点が取れなきゃダメだ、と改めて感じました」
2月4日、イタリア、モデナ。
大学1年だった3年前、バレー留学という形で石川はモデナに在籍した。古巣、と呼ぶには少々おこがましいかもしれないが、石川にとって初めて「世界」を意識するスタートの場となったモデナ。その地に、ラティーナのスタメンとして帰ってきた。
「あの時はまだボーイだったユウキが……」
「あそこで1点が」と石川自身も振り返るように、第1セットの24-24と競り合った終盤に託されたトスを決めきれず、結果はラティーナはストレート負け。
試合後、何度も「あそこが取れないのが、自分自身もチームにとっても大きな課題」と繰り返す石川を、石川が所属した3年前からモデナで主将を務め、ブラジル代表の主将でもあるセッターのブルーノ・レゼンデはこう評した。
「ユウキは素晴らしかったよ。経験が加わって、彼のプレーは年々進化している。何より幸せなのは、あの時はまだボーイだったユウキが、モデナに、スタートメンバーとして戻って来たこと。きっと、ユウキはもっと素晴らしい選手になるはずだよ」
おそらく誰よりも「強くなりたい」と願うのは石川自身だ。
「やっとスタートラインに立てたのかな、と。ずっと試合に出られない状態でモデナに来て、今日、試合に出る姿をサポーターの方々に見せられたのはよかった。これからは、このレベルで普通に戦える選手になりたいです」