炎の一筆入魂BACK NUMBER
37歳、「松坂世代」はまだ戦える。
広島・永川勝浩はなぜ諦めないか。
posted2018/02/06 07:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
今春、中日にテスト入団した松坂大輔が大きな注目を集めている。一時代を築いた「松坂世代」は、プロ野球ファンに長年にわたって興奮と夢を与え、同世代の人々にとっては希望の星であり続けた。
松坂の背番号99の姿が騒がれたキャンプインの2月1日、そんな「松坂世代」の1人、広島の永川勝浩は、広島県廿日市市にある大野練習場にいた。
宮崎県日南市にいる一軍キャンプにも、山口県岩国市でスタートした二軍キャンプにも参加せず、寒空の下で黙々と走り、トレーニング室では眉間にしわを寄せながら左膝を見つめていた。
昨季は、5年ぶりに一軍登録無しで終わった永川。
「しっかりと走りたい」
それが、永川が手術を考えたきっかけだった。
昨年は常に左膝に不安を抱えながらのプレーを余儀なくされた。投げることには大きな影響がなかったことで、ごまかしながら戦い続けた。ただ、膝の痛みと不安から調整不足を招き、投球に響くようになっていた。
何度か目前に迫った一軍昇格も膝の痛みによって回避されたこともあった。
シーズン中盤からは二軍からも離れ、別メニューで調整を続けた。
ブルペン投球はできても、走り込むことができない。前年オフから取り組むスリークオーターのフォームに一定の手応えがあっただけに、もどかしさが募った。
結果、5年ぶりに一軍登板なく、二軍でも24試合1勝1敗、防御率4.85に終わった。