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「今のレアルは危機的状況にあるが」
ジダンの激白はオシムにも通じる?

posted2018/01/29 10:30

 
「今のレアルは危機的状況にあるが」ジダンの激白はオシムにも通じる?<Number Web> photograph by L'Equipe

昨年のフランス人最優秀監督に選ばれたジダン。しかしレアルでの現状は、昨季までの順風とは一転している。

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パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメル

パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel

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 1月9日発売の『フランス・フットボール』誌は、同誌が選出した2017年フランス人最優秀監督を大々的に取り上げている。ヴァイッド・ハリルホジッチを含む22人のかつての受賞者とパスカル・フェレ編集長の投票により選ばれたのは、2016年に続きジネディーヌ・ジダン。121ポイントを獲得し、2位のディディエ・デシャン(58ポイント)に大差をつけての圧勝だった。

 そのジダンの1年を、パトリック・ソウデンとフレデリック・エルメル両記者が詳細にレポートしているが、ここではその中から彼のコメントだけを抜粋してお届けしたい。

 シンプルな表現ながら語られる内容の奥行きの深さには、オシムの言葉にも通じるものがあるように感じられる。現在、直面しているレアル・マドリーの危機的状況を彼がどう感じ、どう対処しようとしているかまで含め、ジダンの言葉をじっくりと味わってほしい。

 

監修:田村修一

私は勝ったし、勝つことが好きだ。そのために生まれた。

『フランス・フットボール』誌選出のフランス人最優秀監督にジネディーヌ・ジダンは2年連続で選ばれた。2017年の彼は5つのタイトル(5月21日リーガ・エスパニョーラ優勝、6月3日チャンピオンズリーグ優勝、8月8日ヨーロッパ・スーパーカップ優勝、8月16日スペイン・スーパーカップ優勝、12月16日クラブワールドカップ優勝)を獲得したが、同時に困難にも直面し批判にも晒されたのだった。

「勝利を得た後では、それがずっと続くことを願う。だがそれこそ最も難しく、また勝てば勝つほどその思いは強くなっていく。

 私は勝ったし、勝つことが好きだ。そのために生まれてきたと言ってもいい。世界最高のクラブにいるということは、世界最高の選手たちを起用できるということでもある。彼らがいれば、私は勝利を得られる。それこそが望むことだ。監督として私は、この勝利が続くためにやるべきことをすべてやらねばならない。何の努力もなしに(2年間で)8つのトロフィーを簡単に獲得できたと思っている人も多いが完全な間違いだ。膨大な時間とエネルギーを費やした結果として得たものだ。

 ジネディーヌ・ジダンはレアルの選手ではない。選手としてのジダンはもはや存在しない。ここにいるのは監督としてのキャリアをこれから築こうとしているジダンだ。このクラブで成し遂げてきたことにより、私は庇護されているわけではない。

【次ページ】 レアルに10年いられるとは思っていない。

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