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武豊、全GI制覇の難関は朝日杯FS。
17戦して未勝利、今年はいける?

posted2017/12/16 09:00

 
武豊、全GI制覇の難関は朝日杯FS。17戦して未勝利、今年はいける?<Number Web> photograph by AFLO

エアスピネルで惜しくも制覇を逃すなど、2着4回。天才・武豊にとって朝日杯は鬼門となっている。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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 今年第69回目となる朝日杯フューチュリティステークス(12月17日、阪神芝外回り1600m、2歳GI)は、武豊が勝っていない2つのGIのうちの1つだ。もう1つは、今月28日に中山で行われる新設2歳GIのホープフルステークス。

 2012年、武はサダムパテックでマイルチャンピオンシップを勝ち、JRA・GI完全勝利に王手をかけた。その時点で、残っていたのは朝日杯フューチュリティステークスだけだった。

 しかし、その2012年の朝日杯はティーハーフで5着。翌2013年は牝馬のベルカントで10着。2014年はアクティブミノルで5着。新馬、重賞と圧勝したエアスピネルで臨んだ2015年はついに悲願達成か――と思われたが、「空気を読まないイタリア人」と武が冗談めかしたミルコ・デムーロのリオンディーズにゴール前で差され、3/4馬身差の2着に惜敗。そして、昨年、2016年はタガノアシュラで14着。

 そうこうしているうちに、今年から大阪杯とホープフルステークスがGIに格上げされた。武がまだ勝っていないGIは3つに増えたのだが、大阪杯をキタサンブラックで制し、残り2つとした。

アサクサゲンキは1200mでしか勝ち鞍はないが。

 今年は、自身の手綱で2走前に小倉2歳ステークスを制したアサクサゲンキ(牡、父ストーミーアトランティック、栗東・音無秀孝厩舎)で参戦する。芝1200mでしか勝ち鞍はなく、芝1400mの前走、京王杯2歳ステークスでは3着。マイルは今回が初めてと、やや距離に不安がある。距離をもたせるため、序盤は後方に控えて力を溜めて、末脚勝負に出ることになるのか。

 厳しい戦いになりそうだが、武が話しているように、この時期のレースは、やってみないとわからない。すべての馬が成長途上なので、ちょっとしたことが勝敗を左右する。

 ふと思ったのだが、武が今年の朝日杯を勝てば、暫定的にGI完全制覇と言えるのではないか。まだホープフルステークスが残っているとはいえ、その時点で出場可能なGIはすべて勝ったことになるのだから。

 今週、武は「2017年度ロンジンIFHA国際功労賞」を受賞した。2013年に創設されて以来、騎手が受賞するのも、日本人が受賞するのも初めてのことだ。JRA・GIを74勝、地方と海外を加えるとGIを100勝以上している名手が、また新たな金字塔を打ち立てるか、注目したい。

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