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アシックス取締役が語る靴の秘密。
「研究の積み重ねが一番の強み」
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2017/11/02 16:40
日本人の足の形が劇的に変化し始めている!
松下 最近の傾向として、足の甲は高く、いわゆるアーチがあって、非常に細い。これまでの日本人の足型というのは、幅広(はばひろ)で、甲広(こうひろ)で、甲高(こうだか)だけど、アーチがない。厚みだけがある、という。そういう足から、非常にスマートな足へと変わりつつある。当社では独自に子供のデータ、幼い頃から高校生くらいまでのデータを採取しているのですが、それを見ると、大体どの時期に「大人としての足」が形成されるのかよくわかるんです。11歳あるいは12歳あたりがターニングポイントになるのですが。あと10年か15年もすれば、「日本人の足型」という概念がなくなってしまうかもしれません。
池田 それは何に起因しているのですか? やはり運動不足?
松下 住宅から畳が減った、正座をしなくなった、履物自体が変わった、食習慣も大きく変わった、といった生活習慣の変化が大きいとも言われていますが、正直、直接的に何が原因となっているかは、「まだわからない」というのが正確な答えなんです。
池田 それはアシックスと提携している早稲田大学にとっても、格好の研究テーマとなりますね。そういったデータを照合した上で、昔の足と、今の足とでは、どちらが運動に適しているんですか?
松下 多くの方が語られているとおり、平均的に運動能力は低下していると思います。ただ、足が細くなっているのが原因なのか、正式な因果関係は判明していませんが、特に若い世代は昔と比べて体力が落ちているのは間違いないですね。
ビジネスの話題にとどまらず、国内スポーツシューズのトップシェアを誇る企業の人間から、「日本人のカラダの変遷」を知ることができるのも、NSBCの特色といえよう。
次回は11月9日、フェンシング北京五輪個人銀メダリスト、ロンドン五輪団体銀メダリストの太田雄貴氏をゲストに迎える。