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鳥栖戦の前にサッカーゲーム大会?
クラブ社長が語ったeスポーツ戦略。 

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八木葱

八木葱Negi Yagi

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posted2017/10/15 07:00

鳥栖戦の前にサッカーゲーム大会?クラブ社長が語ったeスポーツ戦略。<Number Web> photograph by Negi Yagi

『FIFA』で対戦する子供と青年。見ず知らずの人間がeスポーツを通じて交流できるのは、実際のサッカーと同じ面白さなのかもしれない。

選手側にも刺激を与えられるようなイベントを。

 大会の優勝者は年末のクラブのシーズン報告会で選手との特別マッチが予定されており、ファンサービスとしての側面が強いのかなと想像していたが、この大会を一番見てほしいのは意外にも選手だという。

「選手側も、フロントが何をやってるか、というのを常に見ています。『また何か面白いことやってるな、俺たちも頑張らないと』と選手に思ってほしいんですよね。選手とフロントはもちろん仲間ですけど、どっちがより面白いことを起こせるか、という意味では競争でもある。だから次々と新しいことを始めたいし、負けてられないんですよ。今回のeスポーツイベントをする前からクラブの合宿所で選手がゲームをしたり、ということは普通にあったので、今も選手たちは『お前うまいから出ろよ』みたいな話してます」

 その言葉通り、大会初日となった9月30日には40名近くがトーナメント戦に参加し、上々の滑り出しを見せた。

カジュアルな遊びから真剣勝負の側面まで。

 試合自体は参加選手の年齢も技術も幅広いもので、真剣勝負の世界大会では必ず使われるレアル・マドリーやバルセロナのようなビッグクラブよりも、サガン鳥栖を選ぶプレーヤーが多いという、結果へのこだわりよりも娯楽性に重点がある大会だったと言える。しかし、竹原社長が真剣勝負を連想させる「eスポーツ」という単語を使ったことには理由があるという。

「カジュアルな遊びとしての側面から、真剣勝負の側面まで、ゲームのあらゆる可能性を使っていきたいんですよ。今日の大会は間口の広いものでしたけど、近い将来には頂点を目指すプロプレーヤーとの契約を発表したいと思っていますし、eスポーツが盛んなオランダのクラブとも日常的に情報交換をしています」

 オランダではサッカークラブがサッカーゲームのプロプレーヤーを抱えるのが一般的になりつつあり、昨年までは『FIFA』の世界大会優勝者はバロンドール表彰式に登壇し、リオネル・メッシと並んで表彰を受けるという栄誉が与えられていた(現在は欧州最優秀選手の表彰式に登壇できる)。

【次ページ】 サッカークラブという“本業”のために。

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