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「オレがいない方が強いんちゃうか」
苦しんだ西武・森友哉、ついに復活。
posted2017/09/21 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「オレがいないほうが強いんちゃうか……」
二軍のグラウンドから恨めしそうにメットライフ(西武)ドームを見つめ、森友哉がため息をついた。埼玉西武ライオンズが59年ぶりとなる13連勝を続けている最中のことだ。
3月5日のWBC強化試合・キューバ代表戦(京セラドーム大阪)で死球を受けて左ひじを骨折。その後二軍でリハビリと調整を続けてきた森は、思うように回復しない自分の左腕の状態に苛立っていた。
「一軍の試合? 見てはいましたけど、めちゃめちゃモヤモヤしてましたよ。なんせチームが強かったので、『オレ、いなくても平気やな』とか『戻ってもいる場所ないな』とか……。練習が終わったあとは、なるべく野球のことは考えないようにしてましたね。『無』です、『無』。そうすることでしかイライラを収められなかったですから」
7月に室内練習場で打撃練習を始めても、不満は残ったままだった。
「バッティング練習を再開した直後も、思うようなバッティングが全然戻っていなかったです。自分のスイングができなかったいちばんの原因は、折れた左手の握力が落ちてしまったこと。そのためにバットも思い切り振れなくて、練習を再開しても全然ダメやって思ってました」
フルスイングできないことがストレスに。
フルスイングを信条とする森にとって、思い切りバットを振れないこと自体がフラストレーションになった。
二軍の試合にも帯同できず、西武第二球場に居残って汗を流す日々は続いた。
残留組を担当する星孝典・育成コーチは振り返る。
「痛みもあったでしょうし、復帰までの道筋が、彼が思っていたより時間がかかったんでしょう。イライラしているのは見ていてわかりました。その様子を見て、僕が言ったことをただ強制的にやらせても、彼の身にはならないと思いましたね」