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阿部浩之、川崎を淡々と変革中。
勝ち方に敏感であれば優勝できる。

posted2017/09/08 07:00

 
阿部浩之、川崎を淡々と変革中。勝ち方に敏感であれば優勝できる。<Number Web> photograph by Getty Images/J.LEAGUE

阿部が川崎にもたらしたのは流動性あふれる攻撃、ゼロトップ以上に「勝利へのインテリジェンス」なのだろう。

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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Getty Images/J.LEAGUE

 試合は5-1で大勝し、自身初となる公式戦のハットトリックを達成。にもかかわらず、ミックスゾーンでゲームを振り返る阿部浩之に笑顔はなかった。厳しい表情を崩さなかったのには理由がある。

「最後の失点がね……余計。全力では喜べないというか。それまでは、ほぼほぼ無理せずに要所要所で崩していて良かったので。最後のところは課題かな」

 ルヴァンカップ準々決勝第2戦。

 第1戦を2-0で勝利した川崎フロンターレは、敵地での第2戦を5-1と圧勝。2戦合計でのスコアを7-1で終えた。今季リーグ戦では1分1敗と未勝利の相手を、完膚無きまでに叩きのめして、2014年以来となるベスト4進出を決めている。

 その勝ち上がりを決定付けたのは、ほかならぬ阿部のゴールである。

5-1だからこそ、勝ち方に敏感になっていた。

 序盤から攻勢に出てくるFC東京を受け止めながら虎視眈々とカウンターを狙い、28分、中村憲剛のスルーパスに抜け出すと冷静にゴールを打ち抜く。その2分後には、見るからに気落ちしたFC東京の隙を見逃さず、中央からの綺麗な崩しで追加点をあげている。

 試合はまだ前半。残り時間は60分ほどあったが、アウェイゴールの関係で必要な得点数が「5」となっては、FC東京の選手達もさすがに白旗をあげざるを得なかった。川崎のゴールショーは止まらず、後半に5点目となるエウシーニョのループシュートが決まると、FC東京側からも小さくない拍手が起こったほどである。

 阿部の3得点は、どれもフィニッシュワークの高さを感じさせる形だった。試合後は当然のように、得点場面に関する質問が飛んだ。「良かったです。2点目を取ったあたりから(ハットトリックは)意識していた」とコメントしつつも、彼があえて厳しく言及していたのは、ロスタイムの失点のほうだった。それが、冒頭の言葉である。

 試合終了間際に大久保嘉人に許したゴールは、トーナメントの勝敗には影響を与えないものだ。言ってしまえば、「焼け石に水」のような失点といってもいい。しかし、ガンバ大阪時代に3冠を経験している彼は、こういう試合だからこそ「勝ち方」に敏感になっていた。ああいうチーム全体のちょっとした緩みが、将来的に大きな水漏れにつながる可能性があるからだ。

【次ページ】 大久保がFC東京で苦しんでいるのとは対照的に……。

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