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なぜ「断酒宣言」は無かったのか?
巨人・山口俊の傷害事件を検証。

posted2017/08/25 11:00

 
なぜ「断酒宣言」は無かったのか?巨人・山口俊の傷害事件を検証。<Number Web> photograph by Kyodo News

謝罪の記者会見を終え、席を立つ山口。復帰後、山口がどのようなプレーをし、どのように日常生活を送るのか……注目される。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Kyodo News

 酒に酔った上で警備員にケガを負わせるなどして8月18日に傷害、器物損壊の容疑で書類送検された(23日に不起訴決定)山口俊投手(30)に対して巨人は同日、今季終了までの出場停止と罰金、減俸などの制裁金を科す処分を決めた。

 事件は山口が30歳の誕生日を迎えた7月11日未明、東京・目黒区の病院で警備員の男性に体をぶつけるなどして腰と胸に全治2週間のケガを負わせた上に、病院の木製のドアを蹴って破壊したというもの。

 酒を飲んで右手甲を切ったために病院を訪れ、治療を巡ってトラブルになったという。

 しかし山口は「認識がなかった」と球団に報告せずに、登板予定だった18日の中日戦当日に外部からの情報で球団が把握。19日に出場選手登録を抹消されていた。

 人を傷つけ、物を壊すトラブルを起こすなど社会人として論外だが、シーズン中に軽傷とはいえ利き腕の右手をケガして、トラブルを起こした自覚もないほど泥酔していたとすれば、それもまたプロ意識の欠如を指摘されても仕方のない事件だった。

 処分の発表を受けて謝罪会見を行なった山口は「私の軽率な行動により、多くのプロ野球ファンの気持ちを裏切る形となり、誠に反省している」「まずしっかり社会人として、プロ野球選手としての自覚を持ち、このような過ちをしないように自分自身、行動していく」と反省の弁を語った。

では、過去の事例ではどんな球団処分があったのか?

 この処分を巡っては、免許停止中に無免許運転して逮捕されたオリックス・奥浪鏡内野手が8月3日に契約解除(球団はシーズン終了後に解除を決めていたが、本人の希望によりシーズン中の処分となった)された事例もあり、巨人の処分が「甘い」という声が出ている。

 ただ、直近の選手が逮捕された事件に対する球団の処分を調べてみると、2006年に現金自動預払機(ATM)に置き忘れられていた3万円を着服して窃盗事件で逮捕された(不起訴)西武・上本達之捕手は厳重注意処分。

 '14年に妻へのDV疑惑で自宅のある米フロリダで逮捕された(不起訴)ヤクルトのバレンティン外野手は特に処分はなかった。

 またドラフト指名直後の'12年に無免許運転で摘発され、契約保留となった西武の相内誠投手は、'14年には未成年飲酒、喫煙が発覚したが、こちらは6カ月間の対外試合禁止処分(罰金はなし)と夜間外出禁止等の処分が出された。

 同じく'14年に車で当て逃げ事件を起こして届け出を怠り事情聴取を受けたDeNAの柿田裕太投手のケースは1週間の謹慎処分と無期限の運転禁止が球団から通達されている。

【次ページ】 出場停止、巨額の罰金……厳しい処分なのか否か。

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