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西武・外崎修汰は古き良きパの職人。
繋ぐ意識の延長線上に2ケタ本塁打。
posted2017/08/24 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「パ・リーグのスター顔でしょう?」
外崎修汰をそう表現するのは、近鉄、オリックス、西武とパ・リーグ一筋に歩んできた阿部真宏打撃コーチだ。
短く刈った黒髪に、隙なく、きっちりと着たユニホーム。ピンと伸びた背筋と真一文字に結ばれた口元からは、朴訥な性格がにじみ出ている。「人気のセ、実力のパ」と言われていた時代の、パ・リーグの選手の佇まいだと阿部コーチは冗談交じりに揶揄したが、外崎はそのビジュアルだけではなく一歩一歩、チームを代表する「職人」へと近づいている。
8月20日現在、101試合に出場し、打率は2割5分2厘。8月15日には、自己最多の10号本塁打をライトスタンドに叩き込んだ。盗塁数は源田壮亮に次ぐチーム2位の17個。随所で見せるチームバッティングや、そつなく次の塁を狙う走塁を武器に、じわじわと存在感を示している。
源田の活躍で外野へと押し出される形となったが。
外崎は埼玉西武に入団した2015年、43試合に出場し、昨シーズンは37試合に出場。思い切りのよいバッティングを買われ、ショートで起用されたものの、エラー数の多さからレギュラー定着を目の前で逃している。今シーズンも当初は「ショートのレギュラー取り」が目標だった。
昨秋のキャンプから、課題とされていた守備の強化に取り組んできた。ところが、ルーキー源田の活躍により、開幕戦からショートのポジションは源田で固定される。
セカンドには主将の浅村栄斗、サードには主砲の中村剛也がいる。レギュラー争いに敗れたと思われたが、外崎にとってはこれが思わぬ好機となった。「野球人生でほぼ初めて」という外野守備に挑戦したことで、先発出場のチャンスが増えたのである。外野両翼での出場機会を得ると、ここまで3割を越える出塁率を残し、下位打線からのチャンスメイクに貢献。今では押しも押されもせぬ外野のレギュラーとなった。